文献詳細
特集 知っておきたい唾液腺疾患
シェーグレン症候群―特に耳鼻咽喉科医が見過ごしがちの全身疾患について
著者: 住田孝之1
所属機関: 1筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻臨床免疫学(膠原病リウマチアレルギー内科)
ページ範囲:P.563 - P.568
文献概要
シェーグレン症候群(Sjögren's syndrome:SS)は,慢性唾液腺炎と乾燥性角結膜炎を主徴とし,多彩な自己抗体の出現や高ガンマグロブリン血症をきたす自己免疫疾患の一つである。病理学的には,唾液腺や涙腺の導管,腺房周囲の著しいリンパ球(T細胞およびB細胞)浸潤が特徴とされる1)。腺房の破壊,萎縮による乾燥症(sicca syndrome)が主症状であるが,唾液腺,涙腺だけでなく,全身の外分泌腺が系統的に障害されるため,autoimmune exocrinopathyとも称される。
SSはほかの膠原病の合併がみられない一次性(primary)SSと関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)や全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)などの膠原病を合併する二次性(secondary)SSとに大別される。一次性SSは病変が涙腺,唾液腺に限局する腺型(glandular form)と病変が全身諸臓器におよぶ腺外型(extraglandular form)とに分けられる。
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