文献詳細
原著
耳下腺oncocytomaの1症例
著者: 上田雅代1 弘中志央1 高田剛資1 山本聡1 高木伸夫1 任書晃2 立本圭吾3
所属機関: 1京都第一赤十字病院耳鼻咽喉科 2京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室 3立本クリニック
ページ範囲:P.577 - P.581
文献概要
Oncocytomaは主に唾液腺に発生する比較的稀な良性腫瘍であり,全唾液腺腫瘍に占める割合は1%以下とされている1)。病理学的には好酸性顆粒を細胞質内に含む膨大細胞(oncocyte)の増殖がみられる腫瘍である。Oncocyteの定義は,①唾液腺が成熟した後に出現する,②酸素活性が高い,③大型で多量のミトコンドリアを細胞質に含む,④通常の導管細胞の特徴を欠くこととされている2)。耳下腺oncocytomaは術前診断が困難であり,ほとんどの報告は摘出標本を用いた病理組織診で診断を得ている。文献的考察3,4)より穿刺吸引細胞診は術前診断を可能とする有用な検査法であると考えられた。
本稿では摘出標本を用いて診断し得た耳下腺oncocytomaの1症例につき,その治療経過を報告する。
参考文献
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