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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科83巻9号

2011年08月発行

原著

咽頭から後頸傍椎部に刺入した木片異物小児例

著者: 森島亮1 金澤丈治1 今吉正一郎1 山際華子1 長友孝文1 石川浩太郎1 笹村佳美1 藤田晃史2 市村恵一1

所属機関: 1自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 2自治医科大学医学部放射線医学講座

ページ範囲:P.679 - P.683

文献概要

Ⅰ はじめに

 耳鼻咽喉科領域における外傷性異物は決して稀ではなく日常診療においてしばしば遭遇する疾患である。外傷性異物の診断では問診が極めて重要であり,詳細な病歴の聴取が異物の発見につながることが多い。しかしながら小児においては本人からの情報が得にくく周囲からの情報も正確とはいえない。このような場合,診断には画像所見が重要であるが,異物の種類や大きさによっては描出が難しく,特に,箸など木片異物はX線透過性であり診断が困難なことが多い。今回,われわれは病歴からは確証が得られなかったもののCTの詳細な検討により診断が可能で,外切開により摘出し得た菜箸による小児の頸部木片異物の症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1)矢原三十美・他:外傷性副鼻腔異物の2症例.千葉医学 61:279-282,1985
2)菊地俊彦・他:口腔より深部に刺入せる箸異物の2症例.耳鼻臨床 80:777-782,1987
3)中川尚志・他:頸部刺創性異物症例の検討.耳鼻 34:1145-1148,1988
4)鈴木慎二・他:MRIが有用であった頰部木片異物.耳鼻臨床 89:583-586,1996
5)横井隆司・他:篩骨銅に達した眼窩内木片異物症例.耳鼻臨床 82:79-83,1989
6)山田浩之・他:診断に苦慮した側頭部木片異物迷入の1例.日口外誌 44:783-785,1998
7)笹村佳美・他:耳管から鼓室に至った鼓室内異物による慢性中耳炎の1乳児例.耳喉頭頸 71:589-592,1999
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9)西野裕仁・他:乳幼児の軟口蓋異物例.耳鼻臨床 94:905-908,2001
10)河原 康・他:咬筋内植物性異物の1例.愛院大歯誌 39:193-197,2001
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12)音在信治・他:腫瘤形成により偶然発見された頸部刺入異物の1症例.耳喉頭頸 75:8-9,2003
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16)大谷悦子・他:眼窩内木片異物のCT値の経時的変化.眼紀 42:1259-1262,1991
17)八子恵子・他:眼窩内木片異物のCT所見.眼紀 41:400-406,1990
18)辰野 聡:頸部筋膜間隙.頭頸部のCT・MRI,多田信平・黒崎喜久(編).メディカル・サイエンス・インターナショナル,東京,2002,pp298-362

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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