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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科84巻1号

2012年01月発行

文献概要

特集 日常診療で遭遇するトラブルへの対応

耳管通気によるトラブル

著者: 福田宏治1 佐藤宏昭1

所属機関: 1岩手医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲:P.15 - P.20

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Ⅰ はじめに

 日常の耳鼻咽喉科診療において耳管通気法は一般的に行われる処置の一つである。鼻腔内より耳管を通して,空気を鼓室内に送気し,その通気音の性状で,耳管の通気度や鼓室内の滲出液の有無を評価し,同時に滲出性中耳炎や耳管狭窄症の治療も兼ねる。このように診断と治療の目的でしばしば行われる外来処置であるが1),軽微な合併症から稀ではあるが重篤な合併症,時に死に至るという合併症の報告もなされている。本稿では,耳管通気で起こりうる合併症と,その予防および対応について述べる。

参考文献

1)鳥山 稔・他:耳管通気の合併症と偶発症.JOHNS 4:1395-1399,1988
2)立木 孝:耳鼻咽喉科学第2版.日本醫事新報社,東京,1986,pp152-154
3)山本 裕:特集 耳鼻咽喉科専門研修をはじめる医師へ―外来手技とインシデント・アクシデント 1.耳管通気・鼓膜切開.耳喉頭頸 81:813-819,2009
4)佐藤宏昭:Ⅰ.耳<耳閉塞感・自声強聴>耳管通気はどのような疾患に有効か?.耳鼻咽喉科診療私のミニマム・エッセンシャル,本庄 巌・他(編).全日本病院出版会,東京,2011,pp61-62
5)Joffe B, et al:Adult Hemophilus influenza meningitis caused by otolaryngologic maneuver. NY State J Med 67:2125-2126, 1967
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8)藤井 守・他:耳管通気後に頸部・縦隔気腫を呈した1例.広島医学 49:967-969,1996
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10)石黒修三・他:耳管通気法により発生した気頭症の1例.耳喉 57:719-722,1985
11)北村哲也・他:耳管通気により髄液漏および気脳症をきたした1例.耳喉 59:319-323,1987
12)Fischer JC, et al:Middle ear insufflation. Arch Otolaryngol 93:531-532, 1971
13)保坂泰昭・他:耳管通気後に発生した気脳症の1例.日本災害医学会雑誌 36:388-393,1988
14)Åhrén C, et al:Lethal intracranial complications following inflation in the external auditory canal in treatment of Serous Otitis Media and due to defects in the petrous bone. Acta Otolaryngol 60:407-421, 1965
15)藤坂実千郎・他:特集・外来偶発事故防止マニュアル 耳処置,耳管通気.JOHNS 21:1095-1097,2005
16)鈴木理文:頸部皮下気腫.JOHNS 4:1491-1493,1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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