文献詳細
特集 日常診療で遭遇するトラブルへの対応
文献概要
Ⅰ はじめに
嚥下障害の検査法には,水飲みテストなどで代表される簡易検査と嚥下内視鏡検査,嚥下透視検査などが行われている1)。それらの検査施行時には,「その検査で何の情報が得られるのか」,「その検査を行ううえでの留意点」,「検査結果判定上の留意点」をよく知ったうえで,施行することが重要である。それはわれわれ耳鼻咽喉科医師が,問診を行わず,また,耳鏡所見,鼓膜所見を求めないままに標準純音聴力検査を,さらに語音明瞭度試験を行って,難聴の有無と難聴の原因を語ることがあり得ないのと同様である。しかし,嚥下障害の検査といえば,すぐに無事に嚥下できるか否か,誤嚥するか否か,ムセるか否かといった点にだけ意識が集中されてしまう傾向にあるように思う。安全な経口摂取はQOLとして重要なものであるとともに,嚥下障害は誤嚥や窒息,肺炎の発症,脱水や栄養障害という生命維持に直結する問題をはらんでおり,検査を行う場合には,遭遇し得るトラブルについても含めて知識をもち,あらかじめ対処法を講じておく必要がある。本稿では,嚥下検査時のトラブルと対策について解説を行う。
嚥下障害の検査法には,水飲みテストなどで代表される簡易検査と嚥下内視鏡検査,嚥下透視検査などが行われている1)。それらの検査施行時には,「その検査で何の情報が得られるのか」,「その検査を行ううえでの留意点」,「検査結果判定上の留意点」をよく知ったうえで,施行することが重要である。それはわれわれ耳鼻咽喉科医師が,問診を行わず,また,耳鏡所見,鼓膜所見を求めないままに標準純音聴力検査を,さらに語音明瞭度試験を行って,難聴の有無と難聴の原因を語ることがあり得ないのと同様である。しかし,嚥下障害の検査といえば,すぐに無事に嚥下できるか否か,誤嚥するか否か,ムセるか否かといった点にだけ意識が集中されてしまう傾向にあるように思う。安全な経口摂取はQOLとして重要なものであるとともに,嚥下障害は誤嚥や窒息,肺炎の発症,脱水や栄養障害という生命維持に直結する問題をはらんでおり,検査を行う場合には,遭遇し得るトラブルについても含めて知識をもち,あらかじめ対処法を講じておく必要がある。本稿では,嚥下検査時のトラブルと対策について解説を行う。
参考文献
1)日本耳鼻咽喉科学会編:嚥下障害診療ガイドライン2008年版.金原出版,東京,2008
2)伊藤裕之:成人気道食片異物.日気食会報 56:1-9,2005
3)丘村 煕:嚥下のしくみと臨床.金原出版,東京,1993
4)日本放射線医学協会:放射線診療における被曝の管理(改定3版).日本アイソトープ協会編.丸善,東京,1987
5)箱崎幸也・他:図説 基礎から分る被曝医療ガイド.日経メディカル開発,東京,2011
6)三枝英人:嚥下機能検査.耳喉頭頸 75:201-210,2003
7)Sataloff RT, et al:GERDによる喉頭炎とその周辺.三枝英人・他(訳).インテルナ出版,東京,2004,pp67-68
8)熊井良彦・他:嚥下性肺炎患者のビデオX線透視検査所見の特徴について.日耳鼻 107:7-11,2004
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