文献詳細
原著
顔面神経麻痺をきたしたワルチン腫瘍の2症例
著者: 武永芙美子1 大久保淳一1 森貴稔1 大淵豊明1 寳地信介1 鈴木秀明1
所属機関: 1産業医科大学医学部耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.49 - P.53
文献概要
耳下腺腫瘍は頭頸部腫瘍の約5%を占める腫瘍で,良性腫瘍が約80%,悪性腫瘍は約20%の発生頻度であると報告されている1,2)。病理学的分類では多形腺腫が最も多く耳下腺良性腫瘍の55~75%を占め,次にワルチン腫瘍が多く耳下腺良性腫瘍の15%~37%を占めている2~5)。ワルチン腫瘍は悪性化することがほとんどなく,腫瘍核出術などの小規模な手術で対応する場合もある。
術前所見の中でも顔面神経麻痺の合併は悪性腫瘍を強く示唆する所見であり,良性腫瘍では術前に顔面神経麻痺を合併することは一般的に稀である。今回われわれは,顔面神経麻痺を伴ったワルチン腫瘍を経験したので文献的考察を加えて報告する。
参考文献
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