耳鼻咽喉科・頭頸部外科84巻11号

2012年10月発行

原著

右扁桃周囲炎から敗血症をきたしたMoraxella osloensis感染症の1症例

著者： 津村薫¹ 永澤昌¹ 林直樹¹ 樽谷貴之² 尾崎紀仁³ 須々井尚子⁴

所属機関： ¹市立三次中央病院耳鼻咽喉科 ²広島大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科 ³広島大学医学部呼吸器内科 ⁴市立三次中央病院検査科細菌検査室

ページ範囲：P.853 - P.858

文献概要

Ⅰ．はじめに

　好気性グラム陰性球桿菌であるMoraxella osloensisは，ヒト口腔内粘膜などの上気道常在菌である。本菌による感染症の報告はきわめて少なく，わが国では2011年になって初めてM. osloensis感染症^1）の報告がなされた。今回，生来健常であった35歳の男性が，右扁桃周囲炎から敗血症に至った症例を経験したので，文献的考察を加えて報告する。

　上気道炎に対し不要な抗菌薬を控えることが提唱されることが最近の傾向となってきたので，これから常在菌感染症の合併症とその重篤化が再び注目されると推測される。そのひとつとしてLemierre症候群があり，これについても簡単に言及したい。

参考文献

による敗血症の1例．日臨微生物雑誌21：45-50，2011

2）大楠清文・他：遺伝子およびシグナル増幅法．臨と微生物34（増刊号）：459-478，2007

：Case Report and review of the Literature. CID 2000；30（January）：179-181, 2000

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