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特集② 知っておきたい小児科の知識―専門医の診方・治し方
文献概要
Ⅰ はじめに
小児,特に乳幼児はインフルエンザ,中耳炎などありふれた感染症でしばしば発熱し,けいれんを起こす。感染症の発症後すぐにけいれんを起こせば小児科医を受診するだろう。その一方で,はじめ咽頭痛,鼻汁,耳漏などを訴えれば耳鼻咽喉科医を受診し,治療の経過中に発熱とけいれんを起こしてくる事例もあるだろう。
乳幼児が発熱に伴ってけいれんを起こす例はとても多い。その多くは熱性けいれんであり,一部は髄膜炎,脳炎,脳症である。多くの医師の間に,熱性けいれんについては「放っておいても自然に治る」「くみしやすし」という印象,髄膜炎,脳炎,脳症については「濃厚に治療しないと死亡か後遺症」「治療が遅れたら訴訟になる」印象がある。しかし実際には両者の症状は似ており,初期段階での鑑別は意外に難しい。
本稿では熱性けいれんと髄膜炎,脳炎,脳症について,病態,診断,治療を概説する。
小児,特に乳幼児はインフルエンザ,中耳炎などありふれた感染症でしばしば発熱し,けいれんを起こす。感染症の発症後すぐにけいれんを起こせば小児科医を受診するだろう。その一方で,はじめ咽頭痛,鼻汁,耳漏などを訴えれば耳鼻咽喉科医を受診し,治療の経過中に発熱とけいれんを起こしてくる事例もあるだろう。
乳幼児が発熱に伴ってけいれんを起こす例はとても多い。その多くは熱性けいれんであり,一部は髄膜炎,脳炎,脳症である。多くの医師の間に,熱性けいれんについては「放っておいても自然に治る」「くみしやすし」という印象,髄膜炎,脳炎,脳症については「濃厚に治療しないと死亡か後遺症」「治療が遅れたら訴訟になる」印象がある。しかし実際には両者の症状は似ており,初期段階での鑑別は意外に難しい。
本稿では熱性けいれんと髄膜炎,脳炎,脳症について,病態,診断,治療を概説する。
参考文献
1)水口 雅:熱性けいれん.ポケットプラクティス小児神経・発達診断.水口 雅(編).中山書店,東京,2010,pp 129-132
2)水口 雅:髄膜炎.日医雑誌141(特別号1):S226-227,2012
3)水口 雅:急性脳炎・急性脳症.日医雑誌141(特別号1):S227-228,2012
4)Mizuguchi M, et al:Acute encephalopathy associated with influenza and other viral infections. Acta Neurol Scand 115:45-56, 2007
5)Hoshino A, et al:Epidemiology of acute encephalopathy in Japan, with emphasis on the association of viruses and syndromes. Brain Dev 34:337-343, 2012
6)細菌性髄膜炎の診療ガイドライン作成委員会(編):細菌性髄膜炎の診療ガイドライン,医学書院,東京,2007
7)日本神経感染症学会:ヘルペス脳炎のガイドライン.Neuroinfection 10:78-87,2005
8)厚生労働省インフルエンザ脳症研究班:インフルエンザ脳症ガイドライン[改訂版].小児科臨床62:2483-2528,2009
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