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鏡下囁語
Menièreの原著とその周辺 第七編 MenièreのTrousseau講演見聞録
著者: 飯沼壽孝1
所属機関: 1埼玉医科大学
ページ範囲:P.1045 - P.1049
文献購入ページに移動第七編の概要
本編はTrousseauの講演「卒中様脳充血とてんかんとの関連」に対するMenièreの見聞録(記録ならびに批評)である。Trousseauの講演内容の全文は紙数を要するので,彼が言わんとした点を要約して紹介する。本来は頻度があまり高くはないはずの卒中様脳充血の診断が当時はあまりにも多く下されていたが,これは医師側の認識不足もさることながら,てんかんの診断が世情的に影響が多いために,患者の家族が病人の発作の痙攣期を隠して,あたかも卒中様脳充血の病状に落ち着いてから医師の診断を受けることにあると警告した。Trousseauは講演のなかでMenière病について詳しく言及して,その存在を認めている。
十九世紀時代にはてんかんは遺伝的疾患であり家族は恐怖感と世間体を気にして屈辱感を抱いていた。当時のてんかんの概念については本稿の第五編,第二部で「当時のてんかんの概念について」として紹介し,脳充血については本稿の第四編,第二部で「脳充血の概念と症状(付;卒中)」として紹介した。今回第一部として紹介する見聞録は,Trousseauの穏便でわかりやすい講演に比較すると,辛辣であるが,婉曲的,時には比喩的な表現が多く難解である。第二部にはMenièreがItardの不随意運動に関する論文(1825)を援用したので,論文は冗漫に近く長文であるために多少は関連する部分のみを要約した。
本編はTrousseauの講演「卒中様脳充血とてんかんとの関連」に対するMenièreの見聞録(記録ならびに批評)である。Trousseauの講演内容の全文は紙数を要するので,彼が言わんとした点を要約して紹介する。本来は頻度があまり高くはないはずの卒中様脳充血の診断が当時はあまりにも多く下されていたが,これは医師側の認識不足もさることながら,てんかんの診断が世情的に影響が多いために,患者の家族が病人の発作の痙攣期を隠して,あたかも卒中様脳充血の病状に落ち着いてから医師の診断を受けることにあると警告した。Trousseauは講演のなかでMenière病について詳しく言及して,その存在を認めている。
十九世紀時代にはてんかんは遺伝的疾患であり家族は恐怖感と世間体を気にして屈辱感を抱いていた。当時のてんかんの概念については本稿の第五編,第二部で「当時のてんかんの概念について」として紹介し,脳充血については本稿の第四編,第二部で「脳充血の概念と症状(付;卒中)」として紹介した。今回第一部として紹介する見聞録は,Trousseauの穏便でわかりやすい講演に比較すると,辛辣であるが,婉曲的,時には比喩的な表現が多く難解である。第二部にはMenièreがItardの不随意運動に関する論文(1825)を援用したので,論文は冗漫に近く長文であるために多少は関連する部分のみを要約した。
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