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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科84巻2号

2012年02月発行

雑誌目次

特集 ワクチン

HPV

著者: 徳丸裕

ページ範囲:P.97 - P.101

Ⅰ HPVとは

 ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)は,ヒトの皮膚や粘膜などに存在する,ごくありふれたウイルスである。大きさは約50nmで,正二十面体構造のキャプシド構造内に二本鎖環状DNAをゲノムとしてもっている。現在,120種類以上の型が知られているが,低リスク群と高リスク群に分類される。低リスク群には6,11,42,43,44型などが属し,疣や尖圭コンジローマの発生に関連し,一方,高リスク群には16,18,31,33,35型などが含まれ,その持続感染は子宮頸癌などの悪性腫瘍の原因になるとされている1)。世界的にみて子宮頸癌患者からは16,18型が高率に検出されているが,わが国においては16,18型は約60%程度であり,その他の52,58,33型も比較的高率に検出されている2)

インフルエンザ桿菌

著者: 菅原一真 ,   山下裕司

ページ範囲:P.103 - P.105

Ⅰ インフルエンザ桿菌について

 インフルエンザ桿菌は1889年,1890年のインフルエンザの世界的大流行の際,病原体として発見された。後にインフルエンザの病原体がインフルエンザウイルスであることが明らかにされたため,発見の歴史をその名に残し,インフルエンザ桿菌(Haemophilus influenzae)と命名された経緯がある。

 インフルエンザ桿菌は上気道に存在するグラム陰性桿菌であり,ポリサッカライド抗原をもたない無莢膜型(nontypable)と抗原をもつ莢膜型に分類される。莢膜型は莢膜多糖体の抗原性より,6つの血清型(a~f)に分類される。臨床的に重要となるのは無莢膜型と莢膜型のtype b(Hib)とされている1)。インフルエンザ桿菌の自然宿主はヒトのみであり,特に小児では60~90%で上気道粘膜に保菌していることが知られており,就学前の幼児に最も多いとされる。無莢膜型は粘膜感染症である中耳炎,副鼻腔炎,気管支炎,肺炎の起炎菌となることが知られており,小児の中耳炎,肺炎においては,肺炎球菌,モラキセラ・カタラーリスを含めて3大起炎菌といわれる2)。より臨床的に重要なものがHibであり,細菌性髄膜炎などの侵襲型インフルエンザ菌感染症の原因菌として知られる。欧米よりも罹患率は低いものの,わが国でも4か月~5歳児に発症した細菌性髄膜炎の70~72%の起炎菌がインフルエンザ桿菌であり,その大多数がHibとされている3)。わが国では,2007年にHib莢膜多糖体蛋白結合ワクチン(商品名:アクトヒブ®)が厚生労働省に承認され,2008年より発売,接種が可能になった。本稿では,このHibに対するワクチンについて解説する。

インフルエンザ(新型含む)

著者: 増田佐和子

ページ範囲:P.107 - P.113

Ⅰ はじめに

 インフルエンザは,わが国では毎年初冬から春先にかけて流行する。インフルエンザウイルス感染後,1~3日の潜伏期間を経て急激に出現する発熱,悪寒,頭痛,咽頭痛,筋肉痛,不快感,食思不振,乾性咳嗽,鼻漏,眼症状などを特徴とし,小児では消化器症状,熱性痙攣,下気道感染,中耳炎の合併率も高い1)。ほとんどが自然治癒するが,肺炎,気管支炎,脳症・脳炎などの合併症を起こし重症化する場合もある2)。また,ひとたびパンデミックとなると社会的な影響はきわめて大きい。2009年のブタ由来のH1N1ウイルスによるパンデミックの際にみられた混乱は,今後の医療行政のみならず,一般社会のありかたに大きな課題を示した。

 ワクチンがインフルエンザウイルス感染および合併症予防の最も有効な手段であることは広く認められている3)。本稿では,疾患としてのインフルエンザの知識とともに,ワクチンと感染予防,治療も含めて概説したい。

麻疹・風疹

著者: 齋藤義弘

ページ範囲:P.115 - P.119

Ⅰ はじめに

 2007年12月28日に厚生労働大臣から「麻しんに関する特定感染症予防指針」1)が告示され,2012年の麻疹排除(WHOは2005年に日本を含む西太平洋地域の麻疹排除の目標を2012年と設定している)に向けた本格的な取り組みが,わが国においても始まった。この指針に基づいて2008年1月より麻疹と風疹はそれまでの五類感染症定点把握疾患から全数把握疾患に変更され,診断したすべての医師は7日以内に保健所に届け出なければならなくなった。また2008年4月より5年間の制限つきで麻疹と風疹の定期予防接種が,第1期(1歳児)と第2期(小学校就学前の1年間に当たる児)に加え,第3期(中学1年生相当年齢),第4期(高校3年生相当年齢)にも拡大され,麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)による接種が行われている。

 麻疹の排除とは,国外で感染した者が国内で発症する場合を除き,麻疹の診断例が1年間に人口100万人当たり1例未満であり,かつウイルスの伝播が継続しない状態と定義されている2)。麻疹排除の目標年度である2012年を迎え,わが国の麻疹,風疹の現状と今後の課題について概説する。

ムンプス

著者: 藤原圭志 ,   古田康 ,   福田諭

ページ範囲:P.121 - P.123

Ⅰ はじめに

 流行性耳下腺炎はパラミクソウイルス科に属するムンプスウイルスによる感染症で,両側もしくは片側性の耳下腺部のびまん性腫脹,疼痛,発熱を主症状とする。小児期に好発し,3~6歳で約60%を占めている1)。抗ウイルス剤などの特異的な治療法はなく,感染した場合は解熱鎮痛剤などによる対症療法が中心となり,弱毒生ワクチンによる予防が重要である。ムンプスワクチンの歴史と現況,副反応,必要性について概説する。

肺炎球菌

著者: 平野隆

ページ範囲:P.125 - P.130

Ⅰ はじめに

 肺炎球菌は,ブドウ球菌とならびヒトに対して病原性の強いグラム陽性球菌であり,感染症原因菌として最も頻回に分離される細菌の1つである。肺炎球菌は厚い莢膜をもった細菌で,莢膜は細胞質で合成された単糖体が重合し,細胞膜転移酵素により細胞表面に移動した多糖体であり,細胞壁のpeptideglycanと共有結合している。その莢膜多糖体の抗原特異性は多様であり,90種類以上もの血清型に分類されている。肺炎球菌はヒトの鼻咽腔,特に幼小児期早期において鼻咽腔に定着し,連続的もしくは同時に多数の血清型の肺炎球菌の定着を20~40%と高率に認め,その後,鼻咽腔への定着率は減少するものの,成人の鼻咽腔においても10%近くに認められる。幼い兄弟が存在する場合や,保育園などに通園している小児に保菌率が高く,成人においては喫煙,気管支喘息,急性上気道炎などが保菌への危険因子と挙げられている1)。しかし,ウイルス感染などのさまざまな要因をきっかけとして,その病原性を発揮するようになる。肺炎球菌が原因となる感染症としては肺炎,中耳炎,副鼻腔炎などの呼吸器関連領域感染症のみならず,侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease:IPD)と総称される髄膜炎,菌血症などの全身感染症などの原因菌として挙げられる。特に市中肺炎では,報告地域や国にかかわらず肺炎球菌が原因菌の第1位であり,わが国においても症例全体の20~30%が肺炎球菌性肺炎であると報告されている2,3)。また成人の髄膜炎症例において肺炎球菌によるものが約30~40%で第1位であり4),小児細菌性髄膜炎においてもインフルエンザ菌と並び肺炎球菌が2大起炎菌の1つとして挙げられる。世界的にはIPDの80%以上を閉める代表的な血清型は20種類であり,主な血清型として14,4,1,6A,6B,3,8,7F,23F,18C,19F,9Vであり,小児において血清型はより限局されており6,14,18,19,23Fが主として挙げられる。急性中耳炎を発症する一般的な血清型は3,6A,6B,9V,14,19A,19F,23Fであり,1,5,7Fは稀とされている1)。耳鼻咽喉科領域としては,中耳炎や副鼻腔炎などが主たる肺炎球菌性感染症であり,急性扁桃炎,急性咽頭喉頭炎などの起炎菌としては少ない。近年,肺炎球菌性急性上気道炎の治療法として多剤耐性菌の出現に伴い,肺炎球菌ワクチンの重要性が認識されている。以下,国内で使用されている肺炎球菌ワクチンおよび今後導入されうる海外で使用されているワクチンについて述べる。

百日咳

著者: 太田和代 ,   望月博之

ページ範囲:P.131 - P.135

Ⅰ はじめに

 現行の百日咳ワクチンは,世界に先がけて日本で開発した無菌体百日咳ワクチン(acellular pertussis vaccine)で,1981年からDPT(diphteria toxioid,acellular pertussis and tetanus toxoid;沈降精製ジフテリア・無菌体百日咳・破傷風)ワクチンとして接種されている。それ以前に使われていた全菌体ワクチン(whole cell vaccine)で問題となっていた重篤な副反応はなく,接種率の上昇とともに乳幼児の百日咳患者数は激減し,その有効性と高い安全性は世界でも認められている。一方,2002年頃から年長児,成人の百日咳の増加が問題となっている。百日咳の疫学,年齢による症状の違い,現行のワクチンと今後の課題について概説した。

サイトメガロウイルス感染症とサイトメガロウイルスワクチン

著者: 小川洋

ページ範囲:P.137 - P.141

Ⅰ はじめに

 サイトメガロウイルスは免疫健常な宿主に感染した場合,無症候性または軽症の症状を呈するのみで,ほかのヘルペスウイルスと同様に初感染後宿主の体内に潜伏感染し,生涯宿主と共存するという特徴をもつ。いったん潜伏した後,再活性化する場合も多くは無症候性であり,典型的な例は妊婦や授乳中の母親における再活性化である。ウイルスは妊娠が進むにつれて産道に,そして分娩後は母乳の中に大量に排泄されるようになるが,母体にウイルス血症が起こることはなく,まったく無症候性である1)。サイトメガロウイルス感染(CMV infection)とは血液やそのほかの検体から体内にCMVが同定される状態を意味し,臓器障害など臨床症状を伴うCMV感染症(CMV disease)からは区別される。CMV感染はCMV感染症の前段階にあるが,CMV感染がすべてCMV感染症に移行するわけではない2)。CMV感染で問題となるのは胎内感染と,免疫不全に陥った患者における感染,再活性化である。

 CMV胎内感染症は,先天性ウイルス感染症の中で,最も頻度が高く(全新生児の0.2~2.2%)といわれ,症候性感染児の死亡率は30%にも上り,神経学的異常が60%に認められる3)。先進国における先天性中枢神経系障害の原因としてダウン症候群に匹敵する大きな割合を占めている4)。わが国における発生頻度に関して,札幌医科大学のグループが25年間におよぶ1万人の調査を行った結果から全出生児300人に1人程度が胎内感染し,その1割強が症候性であったと報告している5)。出生時無症候であっても,一部が聴覚障害,精神発達遅滞などの障害を遅発性に引き起こすことが知られている。胎内感染は妊婦の初感染に続いて起こる可能性が高く,わが国での妊孕可能女性の抗体価が低下しており,胎内感染の増加が懸念されている6)

 一方,後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome:AIDS)などの免疫不全個体,移植レシピエント,癌化学療法や造血幹細胞移植時における免疫抑制剤の使用など,宿主の免疫が低下した際に潜伏感染状態から再活性化し,重篤な日和見感染症やさまざまな病態を引き起こす。先天性CMV感染症やCMVの再燃,再感染に対する治療としてガンシクロビルなどの抗ウイルス剤の投与,高力価ガンマグロブリンの投与などがあるが,CMV感染症を発症させないためにワクチンによる治療が期待されている。今までCMVに対する有効なワクチンがなく,CMV胎内感染症,移植医療におけるCMV感染症に対しての根本的な治療としてワクチンの開発が進められてきた。本稿ではサイトメガロウイルス感染症とサイトメガロウイルスワクチンに関して解説する。

目でみる耳鼻咽喉科

乳突皮質形成による残存聴力活用型人工内耳の術後聴力への影響

著者: 塚田景大 ,   岩崎聡 ,   茂木英明 ,   工穣 ,   宮川麻衣子 ,   西尾信哉 ,   宇佐美真一

ページ範囲:P.91 - P.95

Ⅰ.はじめに

 現在,低音部は音響刺激で,高音部は人工内耳で音を刺激する残存聴力活用型人工内耳(electric acoustic stimulation:EAS)が登場し,その有用性については広く知られるようになって来た。

 EASは,高度難聴を適応とする従来の人工内耳とは異なり,残存聴力をいかに保存できるかが重要な点である。先端が柔らかくより蝸牛に侵襲が少ない電極を用いたり1),正円窓からのアプローチ(round window approach:RWA)が低侵襲で蝸牛組織の損傷を軽減させる2)ことが報告されており,良好な聴力温存を可能にしている。しかし,手術では乳突洞削開術,後鼓室開放術により中耳内を操作するため術後の聴力に気骨導差を生じる。そのため残存聴力活用型人工内耳の術後聴力の評価は中耳が落ち着いた後の術後1か月以降で行われて来た。これまでの重度感音難聴に対する人工内耳と異なり,術前から低音部の残聴がある場合はできるだけ術後に生じる気骨導差の縮小や早期改善に努めることは患者へのQOL向上につながる。

 今回われわれは中耳の術後の変化を少なくすることで,術後早期の気骨導差の改善を目的に乳突削開部に骨パテ板を用いた乳突皮質形成を行い,術後1か月までの短期的な鼓膜所見および聴力の経時的変化について検討したので報告し,代表的な症例を合わせて提示する。

原著

鼻腔原発の上皮筋上皮癌の1症例

著者: 平賀幸弘 ,   黄淳一 ,   霜村真一 ,   小山敏雄

ページ範囲:P.143 - P.146

Ⅰ.はじめに

 上皮筋上皮癌(epithelial-myoepithelial carcinoma:EMC)は,1972年にDonathら1)によりはじめて報告された唾液腺由来の腫瘍であり,その発生頻度は唾液腺上皮性腫瘍の0.5~1.0%とされる。1991年の第2版WHO分類で初めて唾液腺癌として採用された2)。大唾液腺以外の部位,特に鼻腔内発症の報告はきわめて稀である。

 今回われわれは,72歳女性の鼻腔内に発生した1症例を治療し,再発を認めず5年が経過したのでここに報告する。

成人スティル病を合併した下咽頭癌の放射線性喉頭壊死症例

著者: 籠谷領二 ,   中屋宗雄 ,   大貫裕香 ,   渡辺健太 ,   阿部和也

ページ範囲:P.147 - P.150

Ⅰ.はじめに

 喉頭壊死は頭頸部悪性腫瘍に対する放射線治療により起こりうる稀な晩期合併症であり,照射終了3か月後から12か月後に起こることが多い1)。重度の喉頭壊死に対してはしばしば外科的治療が選択されるが,照射後早期に発症し手術が不可能な状態に陥った報告例は少ない。今回,われわれは成人スティル病を合併しており長期にわたる副腎皮質ステロイドの投与がなされていた下咽頭癌の症例で,放射線治療後早期に喉頭壊死をきたして死亡した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

化膿性リンパ節炎で発症した乳児自己免疫性好中球減少症の1例

著者: 上田大 ,   大曽根眞也 ,   和多田美奈子 ,   信原健二

ページ範囲:P.151 - P.154

Ⅰ.はじめに

 自己免疫性好中球減少症の多くは乳幼児期に発症し,末しょう血中の抗好中球抗体により好中球の破壊が亢進し,好中球減少をきたす疾患である。頻度は10万人当たり1人で非常に稀な疾患とされている1,2)。今回われわれは,頸部化膿性リンパ節炎を契機に診断された乳児自己免疫性好中球減少症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

書評

口蓋裂の言語臨床 第3版

著者: 髙戸毅

ページ範囲:P.155 - P.155

口蓋裂の言語臨床における必読の書,待望の改訂版

 『口蓋裂の言語臨床 第3版』出版にあたり,心からお慶び申し上げます。斯界における日本有数の執筆陣によって,1987年に本書の初版が,そして2005年には第2版が出版され,初版の出版から既に30年近くの歳月が過ぎましたが,この長きにわたって本書は口唇口蓋裂の治療に携わる多くの医療関係者に読み続けられており,口蓋裂の言語臨床における必読の書となっております。

 口唇口蓋裂治療では,患者の成長発育段階に応じて,医師・歯科医師・言語聴覚士など,多分野の専門家から構成されるチームが集学的な治療を行う必要がありますが,本書は,まさにその観点から執筆・編集されており,口蓋裂の言語臨床にかかわるうえで必要な評価と治療について,乳児期から成人期まで年代別に説明しています。一方,近年の科学技術は日進月歩で目を見張るものがありますが,それは口唇口蓋裂の治療に関しても同様で,第2版の出版後わずか6年の間にも新たな手術法が開発され,また,歯科矯正治療を中心に歯科分野でも新たな展開がありました。口蓋裂の言語臨床の領域でも,2007年に『口蓋裂言語検査』が出版され,2010年に『新版構音検査』で音声表記が一部改訂されるなど,大きな変化・進展がありました。これらに対応するために今回の第3版でも第2版と同様に適切な改訂が行われました。

病院内/免疫不全関連感染症診療の考え方と進め方 IDATEN感染症セミナー

著者: 柳秀高

ページ範囲:P.156 - P.156

日々の診療に必要な知識を築くのに有用な一冊

 この本では,病棟やICUで感染症診療を行うとき,また相談を受けたときに必要とされる知識の多くがわかりやすく解説されている。サンフォードマニュアルのような網羅的なマニュアル本ではなく考え方の筋道が書いてある。総論では病院内での感染症診療の一般原則や免疫不全総論などがよくまとめられている。感染臓器と患者の免疫状態,基礎疾患などから起因菌を推定し,empiric therapyに用いる抗菌薬を決める。培養が返ってきたら最適な抗菌薬を決めてdefinitive therapyを行う。抗菌薬の投与期間の決定については各論で提示されるケースでは議論されないが,各項目の概説のなかで語られることが多いように感じた。

 人工呼吸器関連肺炎やカテーテル関連血流感染・尿路感染などの項目では,米国感染症学会などのガイドラインを用いてケースのマネジメントを説明している。あるいはケースを使って,ガイドラインを解説している。ケースの説明のみならず,疾患・ガイドラインの概説も行っているので全体像をつかむのによい。いずれのケースも基本的に感染臓器,起因菌の推定からempiric therapyを考え,培養結果などを用いて特異的治療を決定するという実践的な流れからぶれずに議論されており,日々の病棟での感染症診療や感染症コンサルタント業務に必要な知識を築くのに有用であると思われる。

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欧文目次

ページ範囲:P.84 - P.84

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.157 - P.157

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.158 - P.158

投稿規定

ページ範囲:P.160 - P.160

著作権譲渡同意書

ページ範囲:P.161 - P.161

あとがき

著者: 丹生健一

ページ範囲:P.162 - P.162

 このあとがきを書いているのは2011(平成23)年12月24日のクリスマスイブです。ことしは東日本大震災,福島原発事故,大被害を与えた台風12号,戦後最高値の円高,生肉食事中毒など天災・人災続きでしたが,皆様の1年はいかがでしたでしょうか?被害にあわれた方々と支援に集まったボランティアの方々が力を合わせて困難な状況に立ち向かっている姿に,今年の漢字「絆」のもつ意味,日本人の絆の強さを改めて実感しました。海外からも米軍のトモダチ作戦をはじめ多くの人的物的支援がありました。なかでも隣国台湾からの支援が突出していました。人的支援とともに総額200億円を超える支援。有り難いですね。多くの学会で諸外国からの招待講演者が来日を躊躇するなか,私が担当した年末の第11回日本台湾耳鼻咽喉科頭頸部外科学会議でも,台湾から多くの先生方がお越しくださいました。まさに“Friend in need is friend indeed”です。

 さて,今月号の特集はワクチンです。おなじみの麻疹・風疹をはじめ,小児中耳炎に対する予防効果も期待される肺炎球菌ワクチン,小児高度難聴の原因となるムンプスや最近,集団感染がしばしば報告される百日咳へのワクチン,新型もカバーするようになったインフルエンザワクチン,中咽頭癌の予防効果も期待されるHPVワクチン,臨床応用が期待されるサイトメガロウイルスヘのワクチンなどを取り上げました。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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