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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科84巻3号

2012年03月発行

雑誌目次

特集 知っておきたい精神神経科の知識―専門医の診方・治し方

精神神経科入門

著者: 沼倉孝利 ,   宮岡等

ページ範囲:P.175 - P.177

Ⅰ はじめに

 身体科医が精神疾患を有する患者を診察する場面は少なくない。そのため,ある程度精神症状を診るための知識をもち,専門医に紹介するタイミングなど,治療の指針を組み立てる必要がある。本稿では精神科診断,鑑別の流れ,向精神薬の使用や,精神科医への紹介時における注意点などについて概説する。

うつの診断

著者: 髙橋知久 ,   野村総一郎

ページ範囲:P.179 - P.183

Ⅰ うつとは

1.抑うつ気分,抑うつ状態,うつ病

 「うつ」は日常耳にすることの多い言葉であるが,「抑うつ気分」,「抑うつ状態」,「うつ病」はそれぞれ意味が異なる。気分の落ち込み,滅入った気分は「抑うつ気分」という症状である。抑うつ気分に加え,興味・喜びの低下や意欲の低下,決断力・集中力の低下,不眠などの症状(抑うつ症状)がみられる状態を「抑うつ状態」という。抑うつ状態とはその時点での状態像であり,疾患名ではない。抑うつ状態とは,表11)のように,正常範囲から疾病に至るまで広範な心的状態を包含している。抑うつ状態をきたす疾患の一つが「うつ病」である。一般にいわれるうつ病とは,従来いわれてきた「内因性うつ病」を指すことが多い。以下,内因性うつ病を中心に説明する。

神経症の診断

著者: 坪井康次 ,   小田原幸 ,   端詰勝敬

ページ範囲:P.185 - P.188

Ⅰ 神経症の位置づけ

 神経症は,心因性の機能性疾患として位置づけられており,19世紀後半から精神分析などの心理療法の最も重要な対象であった。古典的には,身体疾患の除外診断であり,症状が心因との関連で左右される,神経症症状が確認されるなどの定義がある。しかし,神経症の特に不安神経症の基盤に生物学的な要因を見いだす動向が生まれ,薬物療法が重視されるようになるという時代の変遷とともに国際保健機関(WHO)のICD-101)や米国精神医学会による「精神障害の診断と分類のための手引き第四版(DSM-Ⅳ)」では神経症という用語を用いなくなった。表1に「精神障害の診断と分類のための手引き第四版改訂版(DSM-Ⅳ-TR)」2)における神経症の病型分類を示す。本稿では,不安障害の分類とその症状,診断のポイントを紹介する3)

身体表現性障害の診断

著者: 山田和男

ページ範囲:P.189 - P.192

Ⅰ “身体表現性障害”とは?

 “身体化”を主症状とする精神疾患を,“身体表現性障害”という。“身体化”症状とは,適切な検索を行っても,その症状をうまく説明できない身体症状(訴え)である。具体的には,胃カメラなどでの検査上は正常であるのに,食欲もなく胃の不快感が続くといったようなものである。狭義の身体化は,心理的な因子(ストレスや心的葛藤)が背景にあって起こる身体症状を指すが,広義には心理的な因子によらなくとも身体化という。身体化症状は,部位・形態ともに多岐にわたる。耳鼻咽喉科領域では,めまい,耳鳴り,難聴,咽喉頭部異物感などの身体化症状が多いと考えられる。

 身体表現性障害は,症状の種類や特徴,罹病期間などにより,さらに7つに下位分類される(表1)。

耳鼻咽喉科領域における抗うつ薬の使い方

著者: 櫻井準 ,   渡邊衡一郎

ページ範囲:P.193 - P.197

Ⅰ 抗うつ薬の種類

 抗うつ薬は主にセロトニン,ノルアドレナリン,ドパミンのトランスポーターの再取り込み阻害によって効果が発現するとされる。現在各疾患の第一選択薬として主に用いられている抗うつ薬には,セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI),セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI),取り込み阻害によらないノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)やスルピリドがある(表1)1,2)。三環系抗うつ薬は抗コリン作用などの副作用や過量服薬時の危険性から,現在第一選択として使われることは少ない。

 セロトニンは不安,緊張,衝動性などに関係することから,SSRIは抑うつ症状だけでなく,強迫症状,過食,依存,不安・焦燥などにも幅広く用いられる。薬物を代謝するCYPやP糖蛋白質の阻害作用があるため,他剤と併用する際は注意が必要である3)。ノルアドレナリンは意欲や慢性疼痛に関係することから,SNRIは糖尿病性神経障害,三叉神経痛,線維筋痛症などの慢性疼痛にも応用される。SSRIに比べてCYPやP糖蛋白質の阻害作用は少ない。NaSSAはセロトニンとノルアドレナリンの放出を促進することで効果が発揮され,SNRIよりさらにCYPやP糖蛋白質の阻害作用が少ない。副作用の眠気や体重増加を逆に利用することで,不眠や食欲低下がある患者の症状を改善させるかもしれない。スルピリドはドパミンに作用し,食欲や発動性の低下に対して効果がある。

抗不安薬・安定薬の使い方

著者: 村上正人 ,   三浦勝浩 ,   丸岡秀一郎

ページ範囲:P.199 - P.203

Ⅰ はじめに

 耳鼻咽喉科疾患のなかには情動的要因が関与する病態も多く,耳鼻咽喉科医自身がその診断,治療に取り組むべき診療場面も少なくない。その背景にある不安や緊張の緩和に抗不安薬が用いられることが多いが,一方では安易な投与も目立つ。このような耳鼻咽喉科疾患に対するより有効な治療のためには,患者に心身相関に対する正しい認知を促し,病態に即した有効な薬剤を選択するとともに重症化・複雑化・慢性化要因となる心理社会的ストレスの緩和のためのリラクセーションを目的とした生活指導,自律訓練法,認知行動療法などを取り入れる。ここでは耳鼻咽喉科医に求められる抗不安薬の知識と使い方について触れたい。

不眠と睡眠薬

著者: 内山真

ページ範囲:P.205 - P.208

Ⅰ 不眠症の定義

 最新の睡眠障害国際分類第2版よれば,①入眠困難,睡眠維持困難,早朝覚醒,回復感欠如などの夜間の睡眠困難があり,②適切なタイミングと適切な環境下で起こり,③夜間の睡眠困難により,疲労,不調感,注意・集中力低下,気分変調などの日中の問題が起きている場合に不眠症と診断される1)。すなわち,適切な時間帯に床で過ごす時間が確保されているにもかかわらず,夜間睡眠の質的低下があり,これによって日中に生活の質の低下がみられる状態である。

目でみる耳鼻咽喉科

喉頭神経鞘腫の1例

著者: 堤奈央 ,   米澤宏一郎 ,   丹生健一

ページ範囲:P.172 - P.174

Ⅰ.はじめに

 神経鞘腫は頭頸部の代表的良性腫瘍の1つだが,交感神経や迷走神経などに発生することが多く,喉頭に発生することは稀である。今回われわれは喉頭に発生した神経鞘腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

原著

12年間経過観察した内耳道内聴神経腫瘍の1症例

著者: 西浦美佐子 ,   西浦勇一郎 ,   西浦勇夫 ,   竹田一雄 ,   生嶋一朗

ページ範囲:P.211 - P.215

Ⅰ.はじめに

 聴神経腫瘍の診断はMRI,CT検査の進歩により早期に診断されるようになってきた。臨床症状,経過は多彩であり,治療は放射線治療,手術療法が行われる。小腫瘍,特に内耳道内の場合,治療する必要があるかどうか,また必要であれば時期は何時にすべきか,治療方法については色々な意見があると思われる。今回,われわれは内耳道内聴神経腫瘍1症例を12年間経過観察する経験を得たので若干の考察を加えて報告する。

耳鼻咽喉科診療所用嚥下訓練実施計画書の試作

著者: 藤田彰 ,   志水賢一郎 ,   柴裕子

ページ範囲:P.217 - P.222

Ⅰ.はじめに

 現況では,嚥下障害患者に対する訓練はほとんどが病院で行われており,耳鼻咽喉科診療所で嚥下障害に対する診療を行っている耳鼻咽喉科診療所は多くない。しかし,類をみない高齢化社会を迎えたわが国において,嚥下障害を抱える在宅患者への対応は急務であり,日本耳鼻咽喉科学会のガイドライン1)の出版により,耳鼻咽喉科診療所がその役割を果たす機会が増えることが期待される。

 筆者ら2)は,医師会との連携を図りながら,診療所外来および訪問診療として嚥下障害患者の診療を積極的に行ってきた。その経験から,在宅患者に対しての嚥下訓練に際して,言語聴覚士や訪問看護ステーションへの情報提供や指示の手段として,いわゆる嚥下訓練実施計画書の必要性を感じていた。保険診療上,摂食機能療法の診療報酬請求を行う場合には,診療計画書に基づいて嚥下訓練を行うことが義務づけられている。したがって摂食機能療法を行っている病院では,当然,嚥下訓練実施計画書が作成されているが,病院で使用されている計画書の多くはリハビリテーション総合計画書などの一部として作成されており,嚥下訓練に特化されているものは少ない。また,病院と診療所とでは,対象とする患者の病態や嚥下訓練を施行する環境も異なる。これらの点から,筆者らは診療所の特性に根差した嚥下訓練実施計画書(以下,計画書と略す)の必要性を考え,兵庫県耳鼻咽喉科医会福祉医療委員会を中心に耳鼻咽喉科診療所用嚥下訓練実施計画書を試作した。本論文ではその内容を紹介するとともに,有用性と問題点について検討したので報告する。

鼻中隔より発生したグロームス腫瘍の1症例

著者: 平賀幸弘 ,   黄淳一 ,   霜村真一

ページ範囲:P.223 - P.225

Ⅰ.はじめに

 グロームス腫瘍の頭頸部における発生率は,良性軟部組織腫瘍中0.012%と非常に稀である1)。今回われわれは,小児の鼻中隔に発生したグロームス腫瘍の1症例を経験したので,文献的考察を加えてここに報告する。

病理組織学的にIgG4関連疾患と診断した1例

著者: 栗原里佳 ,   八尾和雄 ,   臼井大祐 ,   西山耕一郎 ,   佐藤賢太郎

ページ範囲:P.227 - P.231

Ⅰ.はじめに

 慢性硬化性唾液腺炎は1896年にKüttner1)により報告された唾液腺の腫脹をきたす慢性炎症性疾患である。近年,血清IgGが高値を示し,病変部の組織中にIgG4陽性細胞浸潤を認める疾患群が提唱された2)。自己免疫性膵炎,硬化性胆管炎,後腹膜線維症などが挙げられるが,唾液腺疾患ではMikulicz病やKüttner腫瘍(慢性硬化性唾液腺炎)に血清IgG高値と,病変部の組織中にIgG4陽性細胞浸潤を認めることが報告されている3,4)。これらの疾患は,それぞれの疾患が共通の病態基盤による全身疾患である可能性が指摘されている5)。今回われわれは後腹膜線維症の既往がある慢性硬化性顎下腺炎いわゆるKüttner腫瘍を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

鏡下囁語

2011年度イグノーベル賞の物理学賞の“なぜ円盤投げは目が回り,ハンマー投げは目が回らないか”

著者: 加我君孝

ページ範囲:P.232 - P.234

 毎年ノーベル賞が発表される頃になると,真面目な研究であるのにもかかわらずどこかユーモラスな研究や開発に「イグノーベル賞(Ig Nobel Prize)」が贈られ,新聞に小さな記事が出る。わが国のこれまでの代表的な受賞研究には,“カラオケ”や“バウリンガル”の発明と,ハトもピカソやルノワールの絵を見分けることが可能であるという慶應義塾大学心理学科の渡辺 茂教授の研究がある。2011年度は化学賞にわさびのにおいで火災を知らせる「臭気発生装置」を開発した東京江東区の会社「シームス」が選ばれた。これは補聴器や人工内耳の装用者が寝ているときに火災を知らせるのにぴったりである。火災報知機が作動すると,わさびから抽出した成分を噴霧,眠っている聴覚障害者にも火災を気づかせる装置で,2009年に販売されたばかりである。委員会によると授賞理由は「火災やその他の緊急時,睡眠中の人を起こすのに理想的な空気中のわさびの濃度の決定およびわさび警報器発明への応用」で,実験では鼻づまりの人以外は1~2分で眼がさめることが確認されたという。

 2011年9月29日に米国ボストンのハーバード大学で開かれた受賞式で,「シームス」の開発チームは「世界中の聴覚障害者に商品を知ってもらう良い機会である」と述べ,さらに「次は靴の不快なにおいを消すわさびスプレーを開発したい」と挨拶した。ハーバード大学の先生方はユーモアや機知に富んでいる。私の学んだ東京大学にはこの面が全く欠けているが日本の大学はどこも同じであろう。2011年度はほかに,医学生理学賞に「カメのあくびはうつらない」が選ばれた。物理学賞に「なぜ円盤投げでは目が回り,ハンマー投げでは目が回らないのか」が選ばれた。これは日本めまい平衡医学会の約40年の会員歴をもち,2006年には第65回学会長を担当し「めまいの構造」という著書まで出版した筆者としては,深い関心をもたざるを得ない。この論文を以下に紹介したい。

書評

WHOをゆく 感染症との闘いを超えて

著者: 高久史麿

ページ範囲:P.236 - P.236

本書が,多くの医学生,若い医師の人生の指針となることを期待する

 医学書院から,尾身茂教授が刊行された『WHOをゆく―感染症との闘いを超えて』の書評を依頼された。

 尾身教授は私が勤務している自治医科大学の1期生である。新設の医科大学の1期生には開拓精神の旺盛な元気な学生が多かったが,自治医科大学の1期生も例外ではなかった。自治医科大学の場合,卒業生は各県に戻り,離島・へき地の医療に従事するという,世界に例をみない新しい試みであったから,特に威勢のよい1期生が多かったと思う。

めまいの診かた・考えかた

著者: 加我君孝

ページ範囲:P.237 - P.237

めまいの病態生理から臨床症状・治療方針までを説き起こした画期的テキスト

 フランスの神経学者のシャルコー(1825~1893年)が“眼振にだけは手を出すな”といったほど眼振というのは当時わかりにくいものであったが,現在ではその生理も病態もよくわかるようになっている。初期研修医にとってめまい発作を呈する救急患者が運ばれたときは,CTをオーダーして脳に病変がないかどうかチェックする程度であるかもしれないが,耳鼻咽喉科以外の医師であってもフレンツェル眼鏡で頭位眼振検査をすれば,おそらく半数以上の患者の正しい診断が可能であろう。眼振の有無がわかるからである。ただし,そのためには眼振の正しい診かた・考えかたを身につけていなければできることではない。

 本書は,この100年めまい・平衡障害の領域で星野貞次,福田 精,檜 學の各教授をはじめとする多くの人材を生んだ伝統のある京都大学耳鼻咽喉科学教室で研鑽を積み,アカデミックなキャリアの後,現在めまいを中心とする東京のプライベートクリニックで活躍する二木 隆先生による半世紀のめまい診療の総決算である。

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欧文目次

ページ範囲:P.166 - P.166

〔お知らせ〕日本頭頸部癌学会主催 第3回教育セミナーのご案内

ページ範囲:P.238 - P.238

 日本頭頸部癌学会主催第3回教育セミナーを下記の要領で開催いたしますのでご案内申し上げます。会場は第36回日本頭頸部癌学会会場と同じ「島根県民会館」です。第2回セミナーの各論は中咽頭癌と鼻副鼻腔癌でしたが,今回は唾液腺癌と喉頭癌といたしました。本セミナー受講者には日本がん治療認定医機構の学術単位(3単位)が与えられますので,多数のご参加をお待ちしております。なお,本セミナーの参加票では翌日からの第36回日本頭頸部癌学会には入場できません。別途参加費が必要となります。

〔お知らせ〕第29回「耳の手術研修会」のお知らせ

ページ範囲:P.239 - P.239

 耳鼻咽喉科展望会では2012年7月19・20・21日の3日間,東京慈恵会医科大学解剖学講座の協力のもとに下記の予定で「耳の手術研修会」を開催いたします。

 研修内容は側頭骨の解剖,手術供覧のほか,次の項目を主に解説します。麻酔,基本的清掃手術,鼓膜・耳小骨の形成,真珠腫の手術,外耳道形成,乳突充塡,危険部位の処置,術後処置,耳小骨奇形,外傷,アブミ骨手術,内視鏡下手術などのほか,人工内耳,顔面神経の手術について。

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.241 - P.241

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.242 - P.242

投稿規定

ページ範囲:P.244 - P.244

著作権譲渡同意書

ページ範囲:P.245 - P.245

あとがき

著者: 小川郁

ページ範囲:P.246 - P.246

 東日本大震災以来4回目の「あとがき」担当です。そろそろ東日本大震災の話題は避けたいと思っていましたが,大震災以来1年目の3月号ですので触れないわけにはいきそうもありません。大震災で大きな被害を受けた石巻市は仙台市に次ぐ宮城県第2の都市で,仙台市出身の私にとっても大変馴染みの深い都市です。北上川の河口に栄えた石巻は歴史的には伊達政宗が支倉常長を正使とする慶長遣欧使節を月の浦からスペイン帝国に派遣したことで知られています。その後は世界三大漁場の1つとされる金華山沖に近く,また万石浦では世界に先駆けてカキ養殖法が開発されるなど全国でも有数の水産都市として発展してきました。しかし,今回の大震災による大津波で旧市街地全域が水没し壊滅的な被害を受けました。大川小学校を襲った大津波により校庭に避難していた児童70名が死亡するという衝撃的な悲劇も記憶に新しいところです。震災後10か月が経ちましたが,残念なことに雲雀野町などの「がれき」の処理も進まず,有名な石ノ森萬画館もまだ開館には至っていません。そんななかでうれしいニュースが飛び込んできました。第84回選抜高校野球大会に21世紀枠で石巻工業高等学校の出場が決まりました。グラウンドの泥かきから活動を再開し,不屈の精神で昨秋の宮城県大会で準優勝し,夢の甲子園への切符をつかみました。石巻市の復興の起爆になるよう石巻工業高等学校ナインの活躍を応援したいと思います。

 さて,今月号の特集は「知っておきたい精神神経科の知識」です。大きな災害後に生じる心的外傷後ストレス障害(PTSD)によって,耳鳴りやめまいなどが急増する可能性が指摘されており,耳鼻咽喉科医にとってもマスターすべき重要な知識です。目でみる耳鼻咽喉科は「喉頭神経鞘腫瘍」,原著は「耳鼻咽喉科診療所用嚥下訓練実施計画書の試作」と3編の症例報告の力作揃いです。今月の鏡下囁語「2011年度イグノーベル賞の物理学賞の“なぜ円盤投げは目が回り,ハンマー投げは目が回らないか”」は,どこかユーモラスな研究に贈られるイグノーベル賞の話題でオリンピックイヤーに相応しく楽しくお読みいただけると思います。選抜高校野球大会での高校球児のはつらつとしたプレーを応援しながら,ぜひ一読していただきたいと思います。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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