文献詳細
文献概要
原著
突発性難聴74例の入院治療の検討
著者: 平賀幸弘1
所属機関: 1山梨県立中央病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.305 - P.310
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
突発性難聴(idiopathic sudden sensorineural hearing loss:ISSNHL)は,1944年にDe Kleyn1)が21症例をはじめて報告した疾病である。その病因は感染説,血管障害説,代謝障害説などが挙げられてきているが,いまだに解明されていない2)。したがって,エビデンスのある有効な治療は唯一副腎皮質ステロイドの投与のみであり3),十分な治療法が確立されたとはいえない。よって,治療法は施設間あるいは個々の医師によってまちまちであるのが現状である。
今回の検討の対象は,同一の主治医がほぼ同じ治療方針で治療を続けてきた74症例であるが,ここから得られた結果をふまえて,突発性難聴の病態を解析し,より的確な治療を行うことが本論文の目的である。
突発性難聴(idiopathic sudden sensorineural hearing loss:ISSNHL)は,1944年にDe Kleyn1)が21症例をはじめて報告した疾病である。その病因は感染説,血管障害説,代謝障害説などが挙げられてきているが,いまだに解明されていない2)。したがって,エビデンスのある有効な治療は唯一副腎皮質ステロイドの投与のみであり3),十分な治療法が確立されたとはいえない。よって,治療法は施設間あるいは個々の医師によってまちまちであるのが現状である。
今回の検討の対象は,同一の主治医がほぼ同じ治療方針で治療を続けてきた74症例であるが,ここから得られた結果をふまえて,突発性難聴の病態を解析し,より的確な治療を行うことが本論文の目的である。
参考文献
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