耳鼻咽喉科・頭頸部外科84巻5号

2012年04月発行

特集 最新の診療NAVI―日常診療必携 Ⅴ．麻痺と痛みの診療NAVI

4．顎関節痛

著者： 佐藤公則¹²

所属機関： ¹佐藤クリニック耳鼻咽喉科・頭頸部外科 ²久留米大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座

ページ範囲：P.134 - P.138

Ⅰ　疾患の概説

　顎関節痛とは文字通り顎関節の痛みであるが，実際の臨床では，顎関節疾患による顎関節痛以外に，顎関節疾患以外の疾患による顎関節部の痛みあるいは顎関節周囲の痛みも存在する（図1）。また患者が訴える疼痛の部位が，顎関節の痛みなのか，顎関節周囲の痛みなのかが明らかでない場合もある。

　顎関節痛をきたす顎関節症の診断基準^1）（表1）では，顎関節の疼痛のみならず咀嚼筋などの疼痛，いわゆる顎関節周囲の疼痛も主要症候として挙げられている。

参考文献

1）飯塚忠彦：顎関節症診療のガイドライン．顎関節症，日本顎関節学会（編）．永末書店，京都，2003，pp7-14

2）上野　正：顎関節疾患の診断と治療．日本歯科評論 170：1-7，1956

3）National Institute of Dental and Craniofacial Research：Temporomandibular joint and muscle disorders. http://www.nidcr.nih.gov/OralHealth/Topics/TMJ/

4）佐藤公則：顎関節脱臼整復術の工夫．耳鼻臨床 99：449-452，2006

5）佐藤公則：顎関節脱臼．JIM 15：468-469，2005

6）Sato K, et al：Conservative treatment for recurrent dislocation of temporomandibular joint. J Laryngol Otol 123（Suppl. S31）：72-74, 2009

7）森　良之・他：下顎関節突起骨折における保存的治療．顔面骨骨折の治療の実際，平野明喜（編）．文光堂，東京，2010，pp286-289