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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科84巻5号

2012年04月発行

文献概要

特集 最新の診療NAVI―日常診療必携 Ⅶ.炎症・感染症診療NAVI

2.鼻副鼻腔炎

著者: 荻野枝里子1 中川隆之1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲:P.185 - P.190

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Ⅰ 疾患の概説

 鼻副鼻腔炎は,耳鼻咽喉科領域で最も頻度の高い炎症性疾患である。原因には,ウイルスや細菌による感染性の炎症を主体とするものとアレルギー性の炎症を主体とするものに大別されるが,両者が混在するものも少なくない。鼻副鼻腔炎については,2007年にヨーロッパ鼻科学会による診断治療のガイドライン(EPOS),European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps 20071)が呈示され,2010年には日本鼻科学会より急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2)が呈示されている。後者から引用すると,「急性に発症し,発症から4週間以内の鼻副鼻腔の感染症で,鼻閉,鼻漏,後鼻漏,咳嗽といった呼吸器症状を呈し,頭痛,頰部痛,顔面圧迫感などを伴う疾患」を急性鼻副鼻腔炎と定義している。慢性鼻副鼻腔炎は,一般に上記の症状が3か月以上持続している状態とされている3)。EPOSでは,鼻副鼻腔炎を①急性化膿性鼻副鼻腔炎,②鼻茸を伴わない慢性鼻副鼻腔炎,③鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎に大別し,それぞれについて推奨しえる診断,治療法をまとめている。詳細については,それぞれのガイドラインを参照いただくこととし,本稿では,急性,慢性に分類し,小児,成人について,それぞれのガイドラインのポイントを抽出した。最初に,ガイドラインはあくまでガイドラインであり,現在得られているエビデンスに基づいてまとめられたものであり,エビデンスが得られていない治療法を否定するものではなく,現時点で明確なエビデンスが得られていないにすぎないことに留意していただきたい。なお,急性鼻副鼻腔炎については,日本鼻科学会の急性鼻副鼻腔炎診療ガイドラインを基本とし,EPOSとの違いを付記する形とした。

参考文献

1)Fokkens W, et al:European position paper on rhinosinusitis and nasal polyps 2007. Rhinol Suppl 20:1-136, 2007
2)急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン作成委員会:急性鼻副鼻腔炎ガイドライン.日鼻科会誌 49:143-198,2010
3)日本鼻科学会(編):副鼻腔炎診療の手引き.金原出版,東京,2008
4)Lund VJ, et al:Staging in rhinosinusitis. Rhinology 31:183-184, 1993
5)Wormald PJ:Endoscopic Sinus Surgery:Anatomy, Three-dimensional Reconstruction, and Surgical Technique, 2nd ed. Thieme, New York,2008
6)中川隆之:3D-CTを活用した内視鏡下鼻内手術の解剖実習.JOHNS 27:937-942,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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