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特集 最新の診療NAVI―日常診療必携 Ⅶ.炎症・感染症診療NAVI
3.唾液腺炎
著者: 吉原俊雄1
所属機関: 1東京女子医科大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.191 - P.194
文献購入ページに移動Ⅰ 疾患についての概説
唾液腺の感染症はさまざまな細菌やウイルス感染によって引き起こされるが,末しょう導管の先天異常,唾石の存在,全身疾患や免疫力低下,妊娠,ワルチン腫瘍などを背景に発症するものも存在する。主な症状は唾液腺の腫脹,疼痛,皮膚発赤と発熱などがみられるが,一方炎症症状を欠き慢性経過を呈する例もみられる。多くは耳下腺,顎下腺など大唾液腺の炎症疾患が臨床上の問題となる。大唾液腺では腫脹を認めるものの必ずしも感染によらない炎症性疾患があり,それらの鑑別も重要である。小唾液腺の炎症の頻度は低く局所的病変と全身疾患の一部を反映することがあり,口内炎や口唇腺の炎症として発現する。感染性,非感染性唾液腺炎についてその病態の把握と鑑別が大切である。
唾液腺の感染症はさまざまな細菌やウイルス感染によって引き起こされるが,末しょう導管の先天異常,唾石の存在,全身疾患や免疫力低下,妊娠,ワルチン腫瘍などを背景に発症するものも存在する。主な症状は唾液腺の腫脹,疼痛,皮膚発赤と発熱などがみられるが,一方炎症症状を欠き慢性経過を呈する例もみられる。多くは耳下腺,顎下腺など大唾液腺の炎症疾患が臨床上の問題となる。大唾液腺では腫脹を認めるものの必ずしも感染によらない炎症性疾患があり,それらの鑑別も重要である。小唾液腺の炎症の頻度は低く局所的病変と全身疾患の一部を反映することがあり,口内炎や口唇腺の炎症として発現する。感染性,非感染性唾液腺炎についてその病態の把握と鑑別が大切である。
参考文献
1)村上嘉彦:ムンプス難聴.JOHNS 10:929-934,1994
2)吉原俊雄:成人の反復性耳下腺炎の対処.耳鼻咽喉科・頭頸部外科クリニカルトレンドpart 4.野村恭也・他(編)2004,pp189-191
3)宮本真理子・他:IgG4関連疾患としてのミクリッツ病,慢性硬化性顎下腺炎(キュットナー腫瘍)の臨床病理学的検討.耳鼻臨床2011(印刷中)
4)海野徳二:耳下腺炎.日本口腔咽頭科学会(編):口腔咽頭の臨床,医学書院,東京,1998,pp86-89
5)宮本真理子・他:HIV関連唾液腺疾患の2症例.日耳鼻感染症誌 28:97-100,2010
6)Monama GM, et al:Intralesional bleomycin injections in the treatment of benign lymphoepithelial cysts of the parotid gland in HIV-positive patients:case reports. Laryngoscope 120:243-246,2010
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