文献詳細
特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅸ.腫瘍性疾患診療NAVI
文献概要
Ⅰ 疾患の概説
顔面頭蓋の最深部でblind spotもしくはsilent areaと呼ばれる上咽頭に発生する癌は,頭頸部癌のうち数%を占める比較的稀な疾患である。しかし上咽頭癌はほかの頭頸部癌とは異なる病態を呈するため,その腫瘍特性を理解することが,診断・治療において重要である。民族的背景として中国南部,台湾,香港,シンガポールなどでは年間10万人当たり約40人と高罹患率であるが,わが国を含めほかの地域では年間10万人当たり約0.6人と低く人種差が著しい。また発癌成因にEpstein-Barrウイルス(EBV)の関連が強く,40~60歳代に多く発症する一方で,若年層にも発症者の頻度がほかの頭頸部癌より高い。上咽頭の構成粘膜は円柱上皮,扁平上皮が混在するユニークな部位であり,また両者の境界に移行上皮が存在し,特に分布が著明な後上壁,側壁のローゼンミューラー窩が癌の好発部位である。組織学的に低分化または未分化癌が多く,高転移性である反面,化学放射線療法に高感受性である。
顔面頭蓋の最深部でblind spotもしくはsilent areaと呼ばれる上咽頭に発生する癌は,頭頸部癌のうち数%を占める比較的稀な疾患である。しかし上咽頭癌はほかの頭頸部癌とは異なる病態を呈するため,その腫瘍特性を理解することが,診断・治療において重要である。民族的背景として中国南部,台湾,香港,シンガポールなどでは年間10万人当たり約40人と高罹患率であるが,わが国を含めほかの地域では年間10万人当たり約0.6人と低く人種差が著しい。また発癌成因にEpstein-Barrウイルス(EBV)の関連が強く,40~60歳代に多く発症する一方で,若年層にも発症者の頻度がほかの頭頸部癌より高い。上咽頭の構成粘膜は円柱上皮,扁平上皮が混在するユニークな部位であり,また両者の境界に移行上皮が存在し,特に分布が著明な後上壁,側壁のローゼンミューラー窩が癌の好発部位である。組織学的に低分化または未分化癌が多く,高転移性である反面,化学放射線療法に高感受性である。
参考文献
1)吉崎智一.:生物学的特徴に基づいた上咽頭癌の診断と治療.耳鼻臨床 103:185-192,2010
2)al-Sarraf M, et al:Chemo-radiotherapy in patients with locally advanced nasopharyngeal carcinoma:a radiation therapy oncology group study. J Clin Oncol 8:1342-1351, 1990
3)Fuwa N, et al:Treatment results of alternating chemoradiotherapy for nasopharyngeal cancer using cisplatin and 5-fluorouracil―a phase Ⅱ study. Oral oncology 43:948-955, 2007
4)Xiao WW, et al:Local control, survival, and late toxicities of locally advanced nasopharyngeal carcinoma treated by simultaneous modulated accelerated radiotherapy combined with cisplatin concurrent chemotherapy:long-term results of a phase 2 study. Cancer 117:1874-1883, 2011
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