文献詳細
特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅸ.腫瘍性疾患診療NAVI
文献概要
Ⅰ 疾患の概説
中咽頭癌は頭頸部癌の約10%を占めており,わが国では年間1,500~2,000例程度発症すると推定されている。扁平上皮癌が大部分を占めるが,小唾液腺由来の癌も少なからず認められる。飲酒と喫煙が誘因であり,50~60歳代の男性が多く下咽頭癌同様,重複癌の頻度が高い。喫煙率の低下など,生活習慣の変化で頭頸部癌は減少が予想されるが,中咽頭癌は世界的に増加している。その理由として,中咽頭癌患者とpapilloma virus感染の関連が注目を集めている。1980年代に子宮頸癌におけるpapilloma virusの関与が明らかになり,頭頸部領域では口腔癌においても関連が示唆されていた。2000年代に入り,中咽頭癌の,特に扁桃癌の50%にpapilloma virus genomeが確認され,子宮頸癌同様16型が大半を占めていた。予防可能な性感染症の側面があり,sexual partner数がリスクファクターとなっていることなどが報告された1)。中咽頭癌の感染率も近年80%近くに達するとの報告もある2)。
治療面ではvirus関連中咽頭癌は放射線,化学療法に対する感受性が高く,治療成績は良好であることが明らかになった。一方,喫煙者では生存率改善効果が減弱することも明らかになり,中咽頭癌は,papilloma virus感染,喫煙状態で,high risk,intermediate risk,low riskの3群に分類できることが提唱された3)。わが国においても中咽頭癌とpapilloma virus感染の共同研究が行われ,ほぼ半数の症例で感染していることが報告されている4)。
中咽頭癌は頭頸部癌の約10%を占めており,わが国では年間1,500~2,000例程度発症すると推定されている。扁平上皮癌が大部分を占めるが,小唾液腺由来の癌も少なからず認められる。飲酒と喫煙が誘因であり,50~60歳代の男性が多く下咽頭癌同様,重複癌の頻度が高い。喫煙率の低下など,生活習慣の変化で頭頸部癌は減少が予想されるが,中咽頭癌は世界的に増加している。その理由として,中咽頭癌患者とpapilloma virus感染の関連が注目を集めている。1980年代に子宮頸癌におけるpapilloma virusの関与が明らかになり,頭頸部領域では口腔癌においても関連が示唆されていた。2000年代に入り,中咽頭癌の,特に扁桃癌の50%にpapilloma virus genomeが確認され,子宮頸癌同様16型が大半を占めていた。予防可能な性感染症の側面があり,sexual partner数がリスクファクターとなっていることなどが報告された1)。中咽頭癌の感染率も近年80%近くに達するとの報告もある2)。
治療面ではvirus関連中咽頭癌は放射線,化学療法に対する感受性が高く,治療成績は良好であることが明らかになった。一方,喫煙者では生存率改善効果が減弱することも明らかになり,中咽頭癌は,papilloma virus感染,喫煙状態で,high risk,intermediate risk,low riskの3群に分類できることが提唱された3)。わが国においても中咽頭癌とpapilloma virus感染の共同研究が行われ,ほぼ半数の症例で感染していることが報告されている4)。
参考文献
1)Kumar B, et al:EGFR, P16 HPV titer bcl-xl and p53, sex and smoking as indicators of response to therapy and survival in oropharyngeal cancer. J Clin Oncol 26:28-37, 2008
2)Ernsner JA, et al:Rising incidence of Oropharyngeal Cancer and the Role of Oncogenic Human Papilloma virus. Laryngoscope 117:2115-2128, 2007
3)Ank KK, et al:Human papilloma virus and survival of patient with Oropharyngeal cancer. NEJM 363:24-35, 2010
4)徳丸 裕・他:2011年頭頸部基礎問題研究会資料より
5)Mowry SE, et al:Quality of life in advanced oropharyngeal cancer after chemoradiation versus surgery and radiation. Laryngoscope 116:1589-1593, 2006
6)Allal AS, et al:Quality of life in patients with oropharynx carcinoma:assessment after accerated radiotherapy with or without chemotherapy versus surgery and postoperative radiotherapy. Head Neck 25:833-839, 2003
7)Doweck I, et al:Intra-arterial chemoradiation for T3-4 oral cavity cancer:treatment outcomes in comparison to oropharyngeal and hypopharyngeal carcinoma. World J Surg Oncol 6:2, 2008
掲載誌情報