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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科84巻5号

2012年04月発行

特集 最新の診療NAVI―日常診療必携

Ⅸ.腫瘍性疾患診療NAVI

6.下咽頭癌

著者: 下出祐造1 辻裕之1

所属機関: 1金沢医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室

ページ範囲:P.273 - P.277

文献概要

Ⅰ 概説

 下咽頭癌は頭頸部癌の約10%を占め,近年増加傾向を示している。解剖学的に梨状陥凹,後壁,輪状後部の3つの亜部位に分類され,梨状陥凹部発症が約半数と最も多く,病理組織学的にはほとんどが扁平上皮癌である。自覚症状が出にくいこと,頸部リンパ節転移を高率に認めることから,初診時の段階ですでにStage Ⅲ以上の進行状態である場合が80%と多い反面,近年上部消化管内視鏡検査機器の進歩により,偶然にごく早期の病変で発見される症例もみられる。また食道,胃など上部消化管領域を中心に約20%で同時性または異時性に重複癌を認める。

 好発年齢は60歳代で男女比は6~7:1で男性に多い。発癌の誘発因子は主に飲酒,喫煙歴である。なお輪状後部型に関しては鉄欠乏性貧血とプランマービンソン症候群を呈する女性に多いといわれる。

参考文献

1)日本頭頸部癌学会(編):頭頸部癌診療ガイドライン 2009年度版.金原出版,東京,2009
2)佐藤靖夫・他:下咽頭表在癌の手術治療―内視鏡的咽喉頭手術(ELPS)の経験.日耳鼻 109:581-586,2006
3)井上俊哉・他:進行下咽頭癌における術前化学放射線療法に対する病理学的効果の検討.頭頸部癌 34:544-547,2008
4)岩井 大:頭頸部腫瘍術後の機能回復 喉頭摘出後の音声獲得 シャント.耳喉頭頸 79:211-220,2007
5)竹村博一・他:化学放射線療法施行後の遺残,再発例に対する下咽頭喉頭全摘術の治療成績.頭頸部癌 34:47-51,2008
6)徳丸 裕・他:化学放射線療法後における頸部制御の治療成績と救済手術.耳鼻 55(補1):S91-S97,2009
7)古川まどか・他:化学放射線治療後の画像診断 化学放射線治療後の超音波診断(US).耳鼻 54(補1):S14-S19,2008
8)佃 守・他:無作為比較試験による頭頸部癌補助化学療法におけるUFTの有用性検討.癌と化療法 21:1169-1177,1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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