文献詳細
文献概要
特集 耳鼻咽喉科領域のアンチエイジング
咀嚼・嚥下機能
著者: 大前由紀雄1 大橋敏雄2
所属機関: 1医療法人尚寿会大生病院耳鼻咽喉科 2医療法人尚寿会大生病院歯科・口腔外科
ページ範囲:P.565 - P.571
文献購入ページに移動Ⅰ はじめに
アンチエイジング(抗加齢医学)は,“元気で長寿を享受する”寿命の質の向上を目ざした理論的・実践的科学である。近年,アンチエイジングは,さまざまな領域で注目されているが,咀嚼・嚥下機能の領域では,十分に取り組まれているとはいえないのが現状である。一方,高齢者の摂食・嚥下障害は,栄養障害,気道管理,QOLの点から注目され,摂食・嚥下リハビリテーションとして広く実践され成果を挙げている。こうした手法は,咀嚼・嚥下機能のアンチエイジングを目指した予防医学的へ発展していく可能性もある。
本稿では,高齢者の咀嚼・嚥下障害に対する取り組みを概説し,今後のアンチエイジングへの展開の可能性を紹介する。
アンチエイジング(抗加齢医学)は,“元気で長寿を享受する”寿命の質の向上を目ざした理論的・実践的科学である。近年,アンチエイジングは,さまざまな領域で注目されているが,咀嚼・嚥下機能の領域では,十分に取り組まれているとはいえないのが現状である。一方,高齢者の摂食・嚥下障害は,栄養障害,気道管理,QOLの点から注目され,摂食・嚥下リハビリテーションとして広く実践され成果を挙げている。こうした手法は,咀嚼・嚥下機能のアンチエイジングを目指した予防医学的へ発展していく可能性もある。
本稿では,高齢者の咀嚼・嚥下障害に対する取り組みを概説し,今後のアンチエイジングへの展開の可能性を紹介する。
参考文献
1)日本耳鼻咽喉科学会監修:嚥下障害診療ガイドライン―2008年版.金原出版,東京,2008
2)平野浩彦・他:実践介護予防 口腔機能向上マニュアル.財団法人東京高齢者研究・福祉振興財団,(株)東神堂,2006
3)大前由紀雄・他:嚥下内視鏡検査―動画で診る嚥下診療マニュアル,廣瀬肇(監修).インテルナ出版,東京,2011
4)大前由紀雄:Q2 加齢に伴って嚥下機能はどのように変化するか 嚥下障害Q
& A.吉田哲二(編).医薬ジャーナル社,大阪,2001,pp18-19
5)Tylenda CA, et al:Evaluation of submandibular salivary flow rate in different age groups. J Dent Res 67:1225-1228, 1988
6)Dodds WJ, et al:Tipper and dipper types of oral swallows. AJR 153:1197-1199, 1989
7)大前由紀雄・他:超高齢者の嚥下機能―加齢に伴う嚥下機能の変化.日気食会報 54:1-7,2003
8)古川浩三:嚥下における喉頭運動のX線学的解析―特に年齢変化について.日耳鼻 87:169-184,1984
9)窪田俊夫・他:脳血管障害における麻痺性嚥下障害―スクリーニングテストとその臨床応用について.総合リハ 10:271-276,1982
10)Wu MC, et al:Evaluating swallowing dysfunction using a 100-ml water swallowing test. Dysphagia 19:43-47, 2004
11)才藤栄一・他:平成11年度厚生科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)「摂食・嚥下障害の治療・対応に関する統合的研究:1-17,1999
12)Fiatarone MA:Hight-intensity strength training in nonagenarians. Effects on skeletal muscle. JAMA 263:3029-3034, 1990
13)Shaker R, et al:Augmentation of deglutitive upper esophageal sphincter opening in the elderly by exercise. Am J Physiol 272:G1518-1522, 1997
14)Robbins J, et al:The Effects of Lingual Exercise in Stroke Patients With Dysphagia. Arch Phys Med Rehabil 88:150-8, 2007
15)Palmer PM, et al:Quantitative contributions of the muscles of the tongue, floor-of-mouth, jaw, and velum to tongue-to-palate pressure generation. J Speech Lang Hear Res 51:828-835, 2008
16)大前由紀雄・他:舌前半部によるアンカー機能の嚥下機能に及ぼす影響.耳鼻と臨床 44:301-304,1998
17)Fujiu M, et al:Effect of a tongue-holding maneuver on posterior pharyngeal wall movement during deglutition. Am J Speech-Language Pathology 5:23-30, 1996
18)三枝英人:嚥下障害に悩む患者をいかに診察し理解すべきか?.嚥下医学 1:31-35,2012
19)Kim J, et al:Effect of expiratory muscle strength training on elderly cough function. Arch Gerontol Geriatr 48:361-366, 2009
20)Wheeler KM, et al:Surface electromyographic activity of the submental muscles during swallow and expiratory pressure threshold training tasks. Dysphagia 22:108-116, 2007
掲載誌情報