文献詳細
文献概要
原著
嚥下障害診療ガイドラインに基づいた評価用紙の試作
著者: 高橋瑞乃1 大久保啓介1 猪野絢子1
所属機関: 1佐野厚生総合病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.573 - P.577
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
近年,高齢化と社会的ニーズの変化によって摂食・嚥下障害に対する注目が急速に高まっている。2008年には日本耳鼻咽喉科学会が編集した嚥下障害診療ガイドライン1)(以下,診療ガイドラインと略す)が出版され,嚥下を専門とする医師だけでなく一般外来を担当とする耳鼻咽喉科医が日常診療において嚥下機能の評価ができるよう一定の指針が示された。
しかし摂食・嚥下障害に対する耳鼻咽喉科医の取り組みは決して十分とはいえない。その背景の一つとして,摂食・嚥下障害の疾患を取り扱う際の,膨大な情報を簡潔にまとめることに対する時間的制約や煩雑さがある。また,カルテに記録する内容が検者の知識や経験により左右され,その結果問診および理学所見,スクリーニングテスト,videoendoscopy(VE)の結果や診療経過などの情報を摂食・嚥下チーム間で共有できないこともしばしば経験する。
診療ガイドラインに基づいた使いやすい記録様式があれば,項目に沿って問診や検査を進めることにより適切なカルテ記録を簡便に作成することができると考えられる。
そこでわれわれは,診療ガイドラインに基づき,カルテへの簡便な記録を目的として評価用紙を作成,評価用紙の項目のほとんどを選択式とした。問診および理学所見,スクリーニングテストと,VEをそれぞれA4用紙1枚ずつにまとめた。VEの評価用紙には,短時間で客観的な評価や経過観察が行えることを目的として,兵頭らが提唱している兵頭スコア3)を追加した。
今回提唱した評価用紙は,嚥下障害診療に当たり簡便かつ摂食,嚥下にかかわる医療職種間で統一した情報共有が行えるため十分有用であると考えられる。
近年,高齢化と社会的ニーズの変化によって摂食・嚥下障害に対する注目が急速に高まっている。2008年には日本耳鼻咽喉科学会が編集した嚥下障害診療ガイドライン1)(以下,診療ガイドラインと略す)が出版され,嚥下を専門とする医師だけでなく一般外来を担当とする耳鼻咽喉科医が日常診療において嚥下機能の評価ができるよう一定の指針が示された。
しかし摂食・嚥下障害に対する耳鼻咽喉科医の取り組みは決して十分とはいえない。その背景の一つとして,摂食・嚥下障害の疾患を取り扱う際の,膨大な情報を簡潔にまとめることに対する時間的制約や煩雑さがある。また,カルテに記録する内容が検者の知識や経験により左右され,その結果問診および理学所見,スクリーニングテスト,videoendoscopy(VE)の結果や診療経過などの情報を摂食・嚥下チーム間で共有できないこともしばしば経験する。
診療ガイドラインに基づいた使いやすい記録様式があれば,項目に沿って問診や検査を進めることにより適切なカルテ記録を簡便に作成することができると考えられる。
そこでわれわれは,診療ガイドラインに基づき,カルテへの簡便な記録を目的として評価用紙を作成,評価用紙の項目のほとんどを選択式とした。問診および理学所見,スクリーニングテストと,VEをそれぞれA4用紙1枚ずつにまとめた。VEの評価用紙には,短時間で客観的な評価や経過観察が行えることを目的として,兵頭らが提唱している兵頭スコア3)を追加した。
今回提唱した評価用紙は,嚥下障害診療に当たり簡便かつ摂食,嚥下にかかわる医療職種間で統一した情報共有が行えるため十分有用であると考えられる。
参考文献
1)日本耳鼻咽喉科学会編:嚥下障害診療ガイドライン―耳鼻咽喉科外来における対応 2008年度版.金原出版,東京,2008
2)リハビリテーション医学会:嚥下内視鏡検査の標準的手順.摂食嚥下リハビリテーション学会,東京,2004
3)兵頭政光・他:嚥下内視鏡検査におけるスコア評価基準(試案)の作成とその臨床的意義.日耳鼻 113:670-678,2010
4)Langmore SE, et al:fiberopic endoscopic ezamination of swallowing safety:a new procedure. Dysphagia 2:216-219, 1988
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