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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科85巻2号

2013年02月発行

雑誌目次

特集 ここまでできる外来手術

ページ範囲:P.107 - P.107

耳科領域

著者: 窪田俊憲 ,   欠畑誠治

ページ範囲:P.108 - P.114

POINT

●外来で行う手術は,安全,確実,低侵襲であることが望まれる。

●単純鼓膜穿孔は,外切開が不要な鼓膜穿孔閉鎖術(再生術)が適応になる。

●鼓膜開窓を利用し内視鏡を用いることで,キヌタ・アブミ関節離断を確認し得る。

●真珠腫性中耳炎術後再発病変(パール)は,laserを用いることで短時間・低侵襲に摘出できる。

鼻科領域

著者: 黄川田徹

ページ範囲:P.116 - P.122

POINT

●「外来日帰り手術」の定義:一般に用いられている外来手術との相違。

●「外来日帰り手術」の基本原則:手術理論に基づいた厳密な“ターゲット”の存在。

●「後鼻神経切断術」の定義:一般に普及している盲目的な蝶口蓋上部組織切断術との相違。

●将来展望:悪性腫瘍を除く鼻科領域手術はすべて「外来日帰り手術」として実施される時代へ。

口腔咽頭領域

著者: 花澤秀

ページ範囲:P.124 - P.130

POINT

●自分の技量をわきまえて無理をせずに余裕のある状況で手術を行う。

●手術の適応と目的をはっきりさせる。

●後方支援病院をもち万一に備える。

喉頭領域の日帰り手術

著者: 荒木幸仁 ,   塩谷彰浩

ページ範囲:P.132 - P.139

POINT

●日帰り手術

●内視鏡下喉頭手術

●喉頭微細手術

●喉頭麻酔

頭頸部領域

著者: 安里亮

ページ範囲:P.140 - P.147

POINT

●術後出血の可能性が低く,気道狭窄などの重篤な合併症のない手術が適応である。

●低侵襲の手術を行うことが,外来手術ではより重要である。

●副甲状腺腫瘍・甲状腺峡部癌T1N0なども外来手術の適応になる。

●症例によっては外側下頸部郭清も外来手術の適応となる。

Current Article

神経再支配を目ざした音声外科

著者: 湯本英二

ページ範囲:P.98 - P.106

はじめに

 反回神経の傷害は頭蓋内・底から頸部,胸部にわたる広い範囲のさまざまな疾患によって惹起される。最近は,何らかの手術後に起こる術後性麻痺の増加が指摘されている1~3)。たとえ原疾患の経過が順調であっても,高度嗄声は話声によるコミュニケーションを困難にし,社会復帰の妨げになるだけでなく,会話を続けると過呼吸になって疲労・倦怠感・体がしびれる,といった身体症状を起こすことから,患者のQOLを著しく障害する4)。したがって,反回神経の傷害による高度嗄声に対する音声外科手術の意義はきわめて大きい。

 従来,報告されてきた声帯内注入術や喉頭枠組み手術の術後発声機能は必ずしも十分とはいえないことから,筆者は麻痺側甲状披裂筋の神経再支配を目ざした治療を行ってきたので,その概要を報告する。

原著

診断に難渋した副鼻腔原発成人T細胞白血病/リンパ腫の1例

著者: 木谷卓史 ,   相原隆一 ,   吉田正 ,   清水義貴 ,   池田祐一 ,   中西英元 ,   寺岡裕貴 ,   金子政彦

ページ範囲:P.149 - P.154

はじめに

 成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma:ATLL)はヒトリンパ球向性ウイルスⅠ型(human T-lymphotropic virus type Ⅰ:HTLV-Ⅰ)感染が原因の高悪性度リンパ腫である。症例の約80%を占める急性型とリンパ腫型では進行が早く,生存期間は診断後1年未満であるとされ,予後はきわめて不良である1)。今回,われわれは複視,眼球突出,顔面神経麻痺,頸部リンパ節腫脹などと多彩な症状を呈し,浸潤型副鼻腔真菌症などとの鑑別診断に難渋した副鼻腔原発ATLLの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

耳下腺に発生した非脂腺型リンパ腺腫の1症例

著者: 平賀幸弘 ,   黄淳一 ,   霜村真一 ,   小山敏雄

ページ範囲:P.155 - P.159

はじめに

 非脂腺型リンパ腺腫【non-sebaceous lymphadenoma:NSL】は,主として耳下腺に発生する良性上皮性腫瘍であり,病理組織所見では著明なリンパ浸潤を背景に認め,そのなかに巣状に扁平上皮などの上皮性成分を有するが,脂腺分化を欠く。その発生は非常に稀で,わが国ではいまだ1例の報告も認めない。今回,われわれはこの1症例を経験したので若干の考察を加え報告する。

内視鏡下に摘出した鼻腔神経鞘腫の1例

著者: 阿部郁 ,   橘智靖 ,   中田道広 ,   小河原悠哉 ,   松山祐子

ページ範囲:P.161 - P.165

はじめに

 神経鞘腫はSchwann細胞由来の限局性で被膜を有する良性腫瘍である1~3)。全身のあらゆる部位に認められるが,耳鼻咽喉科領域では,聴神経に発生することが多く,鼻副鼻腔に発生することは,比較的稀である1,4)。鼻腔内に発生した場合の自覚症状として鼻閉や鼻出血などが報告されている2)。今回われわれは歯性上顎洞炎の加療中に偶然発見され,内視鏡下に摘出した鼻腔神経鞘腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

輪状軟骨に生じた軟骨腫の1例

著者: 宮口真一 ,   竹中幸則 ,   曺弘規 ,   山本佳史 ,   中原晋 ,   猪原秀典

ページ範囲:P.167 - P.170

はじめに

 軟骨腫瘍は軟骨基質を産生する腫瘍と定義され,良性の病変から非常に致死率の高い腫瘍まで多様な腫瘍が存在する1)。良性の軟骨腫瘍の多くは無症状であり,画像検査にて偶然発見されることがほとんどで,画像診断が重要とされている。頭頸部領域に軟骨腫瘍が生じることは少ないが,そのなかでは顎骨,喉頭,鼻副鼻腔原発の軟骨肉腫の報告が多い。喉頭原発の腫瘍としては良性腫瘍では乳頭腫,悪性腫瘍では扁平上皮癌が多く,軟骨腫瘍は1%を占めるにすぎない2)。喉頭に発生する軟骨腫瘍には軟骨腫,軟骨肉腫,chondromatous metaplasiaがあり,軟骨肉腫の報告が最も多く,軟骨腫の報告は少ない。今回われわれは輪状軟骨より発生した軟骨腫の症例を経験したので報告する。

副鼻腔原発小細胞癌13歳女子例

著者: 鈴木孝二 ,   谷澤昭彦 ,   奥野貴士 ,   畑郁江 ,   菅野真史 ,   呉明美 ,   藤枝重治 ,   今村好章 ,   大嶋勇成

ページ範囲:P.171 - P.175

はじめに

 小細胞癌は全身のあらゆる臓器に発生しうるが肺外原発のものは小細胞肺癌とは異なる臨床像をもつ稀な悪性腫瘍と考えられている1)。今回,われわれは小児の副鼻腔に発生した肺外小細胞癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

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欧文目次

ページ範囲:P.93 - P.93

〔お知らせ〕「16th Asian Research Symposium in Rhinology」開催のお知らせ

ページ範囲:P.122 - P.122

 2013(平成25)年8月29日~31日の間,下記の予定で「16th Asian Research Symposium in Rhinology」を開催いたします。テーマ“Breakthroughs and New developments in Rhinology”のもと,日本・アジア諸国を中心に鼻科学および関連領域のexpertを招き,基礎・臨床問わず最新の知見を交えご講演いただくとともに,Free Paper SessionやInstruction Courseなどを設け,これから鼻科学のexpertを目指す若手医師の皆様にもご参加いただき,議論を交わし知識を吸収していただければと考えております。多くの演題を集めるため,貴誌に広告を掲載させていただければ幸甚に存じます。詳細につきましては下記をご参照下さい。

〔お知らせ〕日本頭頸部癌学会主催 第4回教育セミナー

ページ範囲:P.123 - P.123

 日本頭頸部癌学会主催第4回教育セミナーを下記の要領で開催いたしますのでご案内申し上げます。

 会場は「東京医科歯科大学M&Dタワー 鈴木章夫記念講堂(東京・御茶ノ水)」で第37回日本頭頸部癌学会会場(京王プラザホテル)と異なります。第4回セミナーの各論は,①上咽頭と非上皮性悪性腫瘍と②舌以外の口腔癌と致しました。

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.177 - P.177

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.178 - P.178

投稿規定

ページ範囲:P.180 - P.180

著作権譲渡同意書

ページ範囲:P.181 - P.181

あとがき

著者: 丹生健一

ページ範囲:P.182 - P.182

<でき上がったどんな権威にもしばられず 流れ動く多数の意見にまどわされず とらわれぬ子どもの魂で いまあるものを組みなおしつくりかえる それこそがおとなの始まり 永遠に終らないおとなへの出発点>(谷川俊太郎の『成人の日に』より抜粋)。今日は1月14日,成人の日。出題者の皆さんからいただいた平成25年度の耳鼻咽喉科専門医認定試験の問題を整理しながら過ごしています。成人式が「おとな」になるための式典なら,専門医試験は一人前の耳鼻咽喉科医に仲間入りするための儀式というところでしょうか。最近ではマークシートの問題数が100題に増え,現代の耳鼻咽喉科頭頸部外科医に求められるあらゆる知識や判断力が試されるようになりました。でも専門医に一番必要なのは,この詩にあるように生涯に亘って学び続ける姿勢ですね。本誌がその一助となるよう本年も編集部一同頑張ります。

 さて,今月号の特集は「ここまでできる外来手術」です。早期社会復帰を望む患者サイドの声や医療費抑制の観点から,わが国においても日帰りや短期入院手術が行われるようになってきました。そこで本特集では「外来または手術室において局所麻酔で行い,当日帰宅できる」手術について,窪田先生(山形大)に鼓膜穿孔閉鎖術,黄川田先生(鼻のクリニック)に鼻内内視鏡手術,花澤先生(花澤耳鼻咽喉科)に口腔疾患の手術,荒木先生(防衛医大)に局所麻酔下軟性内視鏡喉頭手術,安里先生(京都医療センター)に頸部の手術について,その実際と注意点について解説していただきました。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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