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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科85巻3号

2013年03月発行

雑誌目次

特集① 知っておきたい放射線治療の新しい知識―専門医の診方・治し方

ページ範囲:P.191 - P.191

放射線治療の新展開

著者: 小池直義 ,   金田朋也 ,   武居秀行 ,   茂松直之

ページ範囲:P.192 - P.195

POINT

●局所進行頭頸部癌に対する根治的照射としてシスプラチン併用の同時化学放射線治療。

●タキサン系を含む導入化学療法の新展開。

●術後化学放射線治療は断端陽性例や被膜外進展例で有効。

●分子標的薬と放射線治療の併用のエビデンス。

●頭頸部癌に対する放射線治療の線量増加および線量低下への試み。

頭頸部腫瘍に対する強度変調放射線治療

著者: 西村恭昌 ,   松浦知弘

ページ範囲:P.196 - P.200

POINT

●IMRTは,放射線療法の限界を解決できる先進的な照射技術である。

●IMRTでは,標的体積およびリスク臓器の形状に合わせた線量を照射できるため,正常組織への影響を最小限に保ちつつ,腫瘍に対しては高線量照射が可能となる。

●IMRTが成功するか否かは,標的体積やリスク臓器の輪郭入力によるところが大きい。

●頭頸部腫瘍に対するIMRTでは,唾液腺機能を温存することが可能となった。

●Two-step法IMRTは,照射期間中の臓器変位や体輪郭の変形に対応できる照射法である。

ガンマナイフ定位的放射線治療―最近の技術的な進歩

著者: 堀場綾子 ,   林基弘

ページ範囲:P.201 - P.206

POINT

●治療コンセプトは精度を追及した機能的脳神経外科が源流である。

●腫瘍の付着部や進展方向など疾患を4次元的に捉え,より効率的な治療をめざす。

●大きい病変や治療難易度の高い症例に対しては,術前シミュレーションを活用し,安全で無理のない治療計画を立てる(外科手術とのコンビネーションなど)。

サイバーナイフ治療の現況と展望

著者: 野村竜太郎 ,   佐藤健吾 ,   鈴木一郎

ページ範囲:P.208 - P.217

POINT

●サイバーナイフの歴史と構造

●他の定位放射線治療器との違い

●どんな症例に有効か

●有害事象について

●最新機について

トモセラピー®

著者: 古平毅

ページ範囲:P.218 - P.222

POINT

●ヘリカル照射による自由度の高い強度変調放射線治療装置。

●内蔵CTにより高精度な位置合わせと治療経過のモニターが可能。

●複雑な形状の標的に集中度の高い治療プラン作成が可能(頭頸部癌に最適)。

●物理検証,治療手順が効率的で1日に多数治療が可能。

●頭頸部癌に適応範囲が広く有望な治療装置。

重粒子線(炭素イオン線)治療

著者: 鈴木義行 ,   斉藤淳一 ,   中野隆史

ページ範囲:P.224 - P.228

POINT

●重粒子線(炭素イオン線)治療は,通常の放射線治療(X線)と比べ,高い線量の集中性と高い生物効果を併せもつ。

●現在,先進医療として全国3か所の施設で治療が行われている。

●肺癌などでは1~4回/1日~1週間など短期間の治療が行われている。

●肺癌,骨肉腫などで,良好な治療成績が報告されている。

陽子線治療

著者: 秋元哲夫

ページ範囲:P.230 - P.233

POINT

●陽子線治療はブラッグピークという物理学的特性から,優れた線量分布が得られる。

●腫瘍とリスク臓器が近接する頭頸部癌では,その線量集中性から有害事象の低減と線増加が可能である。

●陽子線治療の生物学的効果比はX線とほぼ等価であるため,X線による放射線治療データを利用しやすい。

●頭頸部癌では悪性黒色腫や嗅神経芽細胞腫,腺様囊胞癌などの非扁平上皮癌で有用性が高い。

●術後再発や放射線治療後の再発などに対する治療としても期待できる。

超選択的動注化学療法

著者: 吉田大介

ページ範囲:P.234 - P.240

POINT

●マイクロカテーテルを用いてシスプラチンを超選択的に腫瘍の栄養動脈から投与する治療である。

●中和剤であるチオ硫酸ナトリウムを全身投与し,副作用を軽減しつつ治療強度を上げている。

●放射線治療を併用し,シスプラチンの放射線増感効果を活用している。

●適応を慎重に選ぶことで,全身化学療法を上回る高い治療効果が得られる。

●優れた血管内治療(IVR)医と,耳鼻咽喉科医が協力して治療にあたるべきである。

特集② コーンビームCT活用法

ページ範囲:P.243 - P.243

耳科領域での活用法

著者: 小川洋

ページ範囲:P.244 - P.251

POINT

●コーンビームCTとは一般的にコーンビーム(cone beam)の形状をとるX線とフラットパネル(flat panel)を応用した小照射野に限定したCT装置である。

●コーンビームCTは限定した関心領域の撮影に特化することにより,低被曝線量ながら,高い空間分解能をもち,骨病変の描出に優れたX線画像診断装置である。

●精細な等方性ボリュームデータが得られることにより,多断面再構築画像,ボリュームレンダリング画像において微細な構造を評価することができる。

●耳科領域における活用法について自験例をもとに実際に得られる画像について解説する。

鼻科領域での活用法―コーンビームCTを用いた内視鏡下鼻内手術のシミュレーション

著者: 比野平恭之

ページ範囲:P.252 - P.258

POINT

●コーンビームCTを用いた内視鏡下鼻内副鼻腔手術(ESS)のシミュレーションの実際を紹介し,その有用性を報告した。

●シミュレーションは自身のノートパソコンで行える。

●症例の手術解剖の理解が容易となる。

●実際の手術との誤差が少なく合併症のリスクを軽減できる。

●手術手技の習得と手術成績の向上に有用である。

喉頭領域での活用法

著者: 矢部はる奈

ページ範囲:P.260 - P.265

POINT

●空間分解能が高いというコーンビームCTの利点を活かした喉頭領域での活用法を示した。

●一側喉頭麻痺については,麻痺喉頭の形態の把握が可能であり,音声改善手術の術前・術後評価における有用性を報告した。

●声帯内注入術の術前シミュレーション,術後評価に有用である。

●内視鏡での観察が難しい,気道狭窄症例の評価に役立つ。

原著

鼻唇溝皮弁と頰粘膜弁を用いる上口唇即時再建術―上口唇右半側全層欠損の1症例

著者: 西平茂樹 ,   金洋一 ,   大平明範 ,   佐藤裕 ,   西平宗功 ,   高丸宏

ページ範囲:P.267 - P.271

はじめに

 口唇の全層欠損創を対側口唇皮弁や口唇周囲の局所皮弁で再建する際,一般的には表面が皮膚,裏面が粘膜の状態で皮弁が作製され使用される。今回,上口唇に発生した粘表皮癌症例で,右側人中稜から右口角に至る広範囲全層欠損創の再建に対して,皮膚面は鼻唇溝皮弁の皮下茎島状弁で,粘膜面は上歯肉頰粘膜境部を基部とした頰粘膜弁で表裏摺り合わせるように使用し良好な結果が得られたので術式を中心に詳述した。

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欧文目次

ページ範囲:P.189 - P.189

〔お知らせ〕第58回日本聴覚医学会総会・学術講演会

ページ範囲:P.271 - P.271

会 期:2013年10月24日(木),25日(金)

    理事会,評議員会,各種委員会は10月23日(水)に行います。

会 場:ホテル ブエナビスタ

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.273 - P.273

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.274 - P.274

投稿規定

ページ範囲:P.276 - P.276

著作権譲渡同意書

ページ範囲:P.277 - P.277

あとがき

著者: 小川郁

ページ範囲:P.278 - P.278

 花粉症のシーズンまっただ中です。日本気象協会によると,今春のスギやヒノキなど春の花粉飛散量は,関東,東北,北海道で昨年の3~7倍,近畿でも1.3倍程度になると予測され,全国的に飛散量が少なかった昨年より大幅に増える見通しです。今春の花粉の飛散量はロンドンオリンピックで日本中が盛り上がっていた前年夏の熱気に左右され,その時期に気温が高く,日照時間が多く,雨が少なければ,飛散量が多くなるといわれており,東北,関東などではこうした条件がそろい飛散量が飛躍的に増加し,日照時間が少なく,雨が多かった九州,四国は減る見込みです。一方で,近畿は昨夏の気温,日照時間とも平年並みで,飛散量も平年並みのようです。このように,花粉の大飛散で大変な時期ですが,今年はさらに花粉に加えて中国からのPM10やPM2.5と呼ばれる大気汚染の微粒子汚染物質が風にのって日本に飛来しています。今春の花粉症のシーズンは例年以上にマスクが大流行になりそうです。

 さて,今月号の特集は「知っておきたい放射線治療の新しい知識―専門医の診方・治し方」と「コンビームCT活用法」です。頭頸部癌に対する放射線治療は機能温存のニーズからますます重要になっています。また,強度変調放射線治療(IMRT:トモセラピー)やガンマナイフ,サイバーナイフ,重粒子線治療など,新しい放射線治療が注目されています。一方,超選択的動注化学療法も放射線治療との併用で優れた治療成績をあげており,血管内治療医との連携が重要になっています。本特集ではこれら各分野のエキスパートに放射線治療最前線の知見をまとめていただきました。コンビームCTも耳鼻咽喉科領域での適応を拡大している新しいX線診断装置であり,各領域での活用法をわかりやすく解説していただきました。原著論文も大変読み応えのある症例報告です。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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