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特集 急患・急変対応マニュアル―そのとき必要な処置と処方 Ⅵ 術中・術後の急変への対応法 ■術中編
乳突削開手術時の半規管瘻孔
著者: 中川尚志1
所属機関: 1福岡大学医学部耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.290 - P.293
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◆半規管瘻孔による内耳障害を予防するためには術前の予想が重要であるが,100%検出できるものではない。乳突洞削開術で半規管隆起付近の病変を処置するときには常に瘻孔があるものとして臨み,慎重に剝離する姿勢が大切である。
◆術中に半規管瘻孔が生じた場合でも感音難聴は必発でない。
◆半規管瘻孔の状態を評価し,どのような処置をするかを決定する。
◆真珠腫の合併症による瘻孔の場合,周囲の上皮をパッチ状に残し,ほかの部位を先に,半規管瘻孔は最後に処置を行う。生理食塩水でよく浸し,乾燥しないようにする。
◆半規管瘻孔による内耳障害を予防するためには術前の予想が重要であるが,100%検出できるものではない。乳突洞削開術で半規管隆起付近の病変を処置するときには常に瘻孔があるものとして臨み,慎重に剝離する姿勢が大切である。
◆術中に半規管瘻孔が生じた場合でも感音難聴は必発でない。
◆半規管瘻孔の状態を評価し,どのような処置をするかを決定する。
◆真珠腫の合併症による瘻孔の場合,周囲の上皮をパッチ状に残し,ほかの部位を先に,半規管瘻孔は最後に処置を行う。生理食塩水でよく浸し,乾燥しないようにする。
参考文献
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2)永田良三郎・他:真珠腫性中耳炎における半規管瘻孔症例の臨床的検討.耳鼻(印刷中),2013.
3)小川 郁:側頭骨外科:どこまで危険部位に迫れるか―戦略と対策―「内耳瘻孔の取り扱い」.頭頸部外科18:103-108,2008
4)須納瀬弘:マイクロサージャリーにおける半規管瘻孔の取り扱い.JOHNS 22:725-728,2006
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:Pathology of the ear, 2nd eds, ed by Schuknecht HF. Lea & Febiger, Philadelphia, 1993, pp567-568
11)Schuknecht HF:Labyrinth fistula. In:Pathology of the ear, 2nd eds. ed by Schuknecht HF. Lea & Febiger, Philadelphia, 1993, p206
12)前田 学・他:慢性中耳炎手術症例における迷路瘻孔の検討.耳鼻臨床89:1065-1070,1996
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