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特集 咽頭癌・頸部食道癌の治療戦略Update ≪機能温存手術≫
下咽頭・頸部食道癌に対する機能温存手術—外切開による喉頭温存手術
著者: 松浦一登12
所属機関: 1宮城県立がんセンター頭頸部外科 2東北大学大学院医学系研究科連携講座頭頸部腫瘍学分野
ページ範囲:P.842 - P.849
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●喉頭温存手術は治療後のQuality of Survival(QOS)を考えた場合に戦術上重要である。
●下咽頭癌に対する喉頭温存・下咽頭喉頭部分切除術の最大切除範囲は,一側の梨状陥凹,後壁を切除し,喉頭の一側の披裂・披裂喉頭蓋ヒダを切除するまでと考えている。
●頸部食道癌に対する喉頭温存・頸部食道切除術の適応は,腫瘍が頸部食道〜頸胸境界部に局在する症例で,反回神経麻痺がなく,喉頭浸潤・気管浸潤がないことである。
●喉頭温存・下咽頭喉頭部分切除術では,一側の披裂喉頭蓋ヒダと梨状陥凹に留まる切除なら一期縫縮が可能である。一方,一側の梨状陥凹を越えて後壁や輪状後部に達する切除例や,一側の披裂喉頭蓋ヒダを越えて披裂軟骨上半分を含む切除を要する症例では,遊離組織再建が必要である。
●術直後の喉頭・咽頭の観察が浮腫や唾液の貯留などで困難であることから,モニター空腸やモニター皮弁を頸部に留置している。
●完全喉頭機能温存が果たせた症例は85%であった。
●喉頭温存・下咽頭喉頭部分切除術症例のKaplan-Meier法による5年疾患特異的生存率は90.0%であった。
●喉頭温存手術は治療後のQuality of Survival(QOS)を考えた場合に戦術上重要である。
●下咽頭癌に対する喉頭温存・下咽頭喉頭部分切除術の最大切除範囲は,一側の梨状陥凹,後壁を切除し,喉頭の一側の披裂・披裂喉頭蓋ヒダを切除するまでと考えている。
●頸部食道癌に対する喉頭温存・頸部食道切除術の適応は,腫瘍が頸部食道〜頸胸境界部に局在する症例で,反回神経麻痺がなく,喉頭浸潤・気管浸潤がないことである。
●喉頭温存・下咽頭喉頭部分切除術では,一側の披裂喉頭蓋ヒダと梨状陥凹に留まる切除なら一期縫縮が可能である。一方,一側の梨状陥凹を越えて後壁や輪状後部に達する切除例や,一側の披裂喉頭蓋ヒダを越えて披裂軟骨上半分を含む切除を要する症例では,遊離組織再建が必要である。
●術直後の喉頭・咽頭の観察が浮腫や唾液の貯留などで困難であることから,モニター空腸やモニター皮弁を頸部に留置している。
●完全喉頭機能温存が果たせた症例は85%であった。
●喉頭温存・下咽頭喉頭部分切除術症例のKaplan-Meier法による5年疾患特異的生存率は90.0%であった。
参考文献
1)日本放射線腫瘍学会編:2012放射線治療計画ガイドライン:食道癌.金原出版,東京,2012,pp148-152
2)林 隆一・他:下咽頭癌に対する喉頭温存手術.JOHNS 19:1089-1092,2003
3)海老原 敏・他:喉頭を温存する頸部食道切除・再建術.手術39:459-466,1985
4)松浦一登・他:下咽頭癌と喉頭癌の治療を今改めて考える—喉頭部分切除術および下咽頭喉頭部分切除術の適応拡大を目指して.頭頸部癌32:321-327,2006
5)松浦一登・他:喉頭温存・下咽頭喉頭部分切除術における切除範囲と再建法について.頭頸部外科19:111-118,2009
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