耳鼻咽喉科・頭頸部外科86巻10号

2014年09月発行

原著

MRIにて非典型像を呈した鼓室型グロームス腫瘍例

著者： 橘智靖¹ 小河原悠哉¹ 松山祐子¹ 清水藍子¹ 阿部郁² 小田晋輔³ 内野かおり³ 和仁洋治³ 西﨑和則²

所属機関： ¹姫路赤十字病院耳鼻咽喉科 ²岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科 ³姫路赤十字病院病理診断科

ページ範囲：P.851 - P.855

文献概要

はじめに

　グロームス腫瘍は中耳に発生する良性腫瘍の1つである。確定診断は病理組織診断によるが，症状・鼓膜所見に加え，画像検査が診断の重要な手がかりとなる。また血流豊富な腫瘍であり，摘出に出血のリスクを伴うため，術前に腫瘍の血流・進展範囲を正確に評価する必要がある。今回われわれはMRIにて非典型像を呈した鼓室型グロームス腫瘍の1例を経験したので，若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1）Fisch U, et al：Paragangliomas of the temporal bone. Microsurgery of the skull base. George Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1988, pp148-281

2）Jackson CG, et al：Glomus tumors. Diagnosis, classification, and management of large lesions. Arch Otolaryngol 108：401-410, 1982

3）成尾　一彦・他：鼓室型グロームス腫瘍例．耳鼻臨床94：983-990，2001

4）堀部　よし恵・他：鼓室型グロームス腫瘍例．耳喉頭頸65：391-394，1993

5）辻川　敬裕・他：耳小骨連鎖を温存して摘出した鼓室型グロームス腫瘍例．耳鼻臨床101：15-20，2008

6）渡邉　高弘・他：鼓室型グロームス腫瘍の2例　術前血管塞栓術の適応に関する考察．Otol Jpn 17：665-670，2007

7）大淵　豊明・他：カテコラミン産生が疑われた鼓室型グロームス腫瘍例．耳喉頭頸79：219-223，2007

8）金沢　佑治・他：鼓室型グロームス腫瘍例．耳鼻臨床補134：58-62，2012

9）Sanna M, et al：Middle ear and mastoid glomus tumors（glomus tympanicum）：An algorithm for the surgical management. Auris Nasus Larynx 37：661-668, 2010

10）星野　知之・他：成長が緩徐であった鼓室型グロームス腫瘍例．耳鼻臨床101：185-188，2008

11）増井紗矢香・他：鼓室型グロムス腫瘍の2症例．Otol Jpn 15：157-160，2005