耳鼻咽喉科・頭頸部外科86巻11号

2014年10月発行

原著

鼻口蓋管囊胞の1例

著者： 臼井大祐¹ 八尾和雄² 岡本牧人³ 赤尾一郎⁴

所属機関： ¹大船中央病院耳鼻咽喉科 ²逗子中央耳鼻咽喉科 ³北里大学耳鼻咽喉科 ⁴赤尾耳鼻咽喉科医院

ページ範囲：P.925 - P.929

文献概要

はじめに

　鼻口蓋管囊胞は1914年にMayer^1）により初めて報告された，比較的稀な発育性の非歯原性囊胞である。

　本囊胞は多くの症例が上顎正中部に発生し，胎生期に存在し生後1年以内に消退する鼻口蓋管の遺残上皮に由来する^1〜3）。発生原因については遺残上皮への口腔内からの感染の波及，中切歯根の根端部に生じた炎症の波及，不適合義歯，咀嚼による刺激などに起因する外傷などが誘引となり症状を呈する^4,5）。

　今回われわれは上顎正中部から上顎洞や鼻腔，口蓋を圧排するように増大・発育している巨大な鼻口蓋管囊胞を経験したので，若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1）Mayer AW：Median anterior maxillary cyst. J Am Dent 18：1851-1877, 1931

2）三又康永・他：顎骨囊胞の臨床的検討—福島・石木の分類に基づいて．口科誌41：147-153，1992

3）西岡博人・他：過去8年間における顎骨内囊胞の臨床統計的観察．奈医誌42：248-254，1991

4）Thoma KH：Daignosis and treatment of odontogenic and fissural cyst. Oral Surg 3：961-986, 1950

5）Anneroth G, et al：Nasopalatine duct cyst. Int J Oral Maxillofac Surg 15：572-580, 1986

6）Kramer IRH, et al：Histological typing of odonntogenic tumours. 2nd ed. WHO, Springer-Verlag, 1992, pp39-40

7）中尾一成・他：巨大な鼻口蓋管囊胞の1例．耳喉頭頸69：782-785，1997

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9）酒井　昇・他：鼻口蓋管囊胞の1例．耳喉56：531-535, 1984

10）横山正人・他：巨大な鼻口蓋囊胞症例における手術法の検討．耳鼻臨床82：567-571, 1989

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12）西平茂樹・他：内視鏡下経鼻Partsch Ⅰ法鼻内開窓法による切歯管囊胞の治療．耳喉頭頸72：352-355，2000

13）高橋　悦・他：鼻口蓋管囊胞の1例．耳展41：369-373，1998

14）松吉秀武・他：硬口蓋の巨大な鼻口蓋管囊胞の1症例．耳喉頭頸70：751-754，1998

15）高橋喜久雄・他：鼻口蓋管囊胞17例の臨床病理学的検討．日口腔外会誌51：11-17，2005

16）牧田浩樹・他：鼻口蓋管囊胞の13例．岐阜大医記45：292-298，1997

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