文献詳細
原著
腺腫様甲状腺腫と診断され遠隔およびリンパ節転移をきたした1例
著者: 由井光子1 繁治純1 四宮弘隆1 大月直樹1 丹生健一1
所属機関: 1神戸大学医学部附属病院耳鼻咽喉・頭頸部外科
ページ範囲:P.943 - P.948
文献概要
結節性甲状腺腫が病理組織学的に良性と診断されたにもかかわらず,リンパ節転移や遠隔転移をきたし臨床的に悪性の経過をたどる場合がある。このような病態を示す疾患は従来から転移性甲状腺腫として報告され,濾胞癌の最も分化した亜型とされてきた。摘出した原発巣の病理組織学的検索では濾胞腺腫または腺腫様甲状腺腫と診断されるため,術後に経過観察を受けることは少なく,リンパ節転移や遠隔転移が判明して初めて悪性の診断がなされることから,頻度は少ないものの臨床上注意が必要である。今回われわれは,結節性甲状腺腫に対して切除術が行われ病理組織学的に腺腫様甲状腺腫と診断されたにもかかわらず,のちに局所再発,リンパ節転移および遠隔転移をきたした稀な症例を経験したので報告する。
参考文献
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