文献詳細
原著
成人に発症した第3咽頭囊由来鰓性囊胞の1例
著者: 菱村祐介1 畠山博充1 蠣崎文彦1 福田諭1 三橋智子2
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 2北海道大学医学部病院病理部
ページ範囲:P.155 - P.159
文献概要
頸部囊胞疾患は多岐にわたり,さまざまな鑑別疾患(リンパ管腫,甲状腺・副甲状腺由来の囊胞,胸腺腫,下咽頭梨状陥凹瘻,胚細胞腫,気管支原性囊胞,鰓性囊胞など)が挙げられ1),画像診断のみでは鑑別には困難な症例も多い。頻度が最も高いのは鰓性囊胞であるが,外胚葉性の鰓溝または内胚葉性の咽頭囊の発生学的遺残に由来することから(図1),その遺残形式によって咽頭や皮膚に瘻孔を伴うものもあり,時に重篤な感染症を引き起こすことがある。その多くは小児から若年成人に多く発症し,第1,第2鰓弓由来のものが約95%を占めるが,第3,4鰓弓由来のものは稀である2)。
今回われわれは成人に発症した第3咽頭囊由来鰓性囊胞の1例を経験したのでここに報告する。
参考文献
掲載誌情報