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増刊号 画像診断パーフェクトガイド―読影のポイントとピットフォール 部位別診断法 Ⅰ.耳・側頭骨
耳硬化症と類似疾患(骨Paget病)
著者: 大石直樹1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.58 - P.61
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耳硬化症は側頭骨錐体部の硬化性・海綿状性変性をきたす疾患であり,アブミ骨の固着と蝸牛周囲の骨吸収により,伝音・感音・混合難聴をきたしうる疾患である。組織学的には,otospongiosisと呼ばれる骨の海綿状血管増生病変がみられる初期と,引き続いて血管増生が落ち着き緻密骨を形成する硬化期,とがみられる。それぞれ活動(active)期,非活動(inactive)期と呼ばれる。解剖学的には,最も初期の変化は卵円窓前方でサジ状突起付近のfissula antefenestramに生じ,のちに蝸牛や前庭に進展していく。前者をfenestral typeと呼び,主に伝音難聴を呈し,蝸牛に進展した状態をretrofenestral(あるいはcochlear)typeと呼び,通常は感音難聴を呈するようになる。両者の混合もみられる。
耳硬化症の典型的な診断は,臨床診断は鼓膜所見が正常な両側性の進行性伝音難聴という病歴によって行われ,最終診断は病理組織学的所見によって確認される,ということが多かった。しかし近年の画像診断の進歩から,耳硬化症を初期の段階から画像により診断できる確率が高くなってきており,また予後予測や手術成績の予測にも用いることができるようになってきたため,画像診断の重要性が増している。Retrofenestral typeはほかに側頭骨に異常をきたす病変,すなわち骨Paget病やVan der Hoeve症候群をはじめとするosteogenesis imperfecta(OI)などとの鑑別を要する。
耳硬化症は側頭骨錐体部の硬化性・海綿状性変性をきたす疾患であり,アブミ骨の固着と蝸牛周囲の骨吸収により,伝音・感音・混合難聴をきたしうる疾患である。組織学的には,otospongiosisと呼ばれる骨の海綿状血管増生病変がみられる初期と,引き続いて血管増生が落ち着き緻密骨を形成する硬化期,とがみられる。それぞれ活動(active)期,非活動(inactive)期と呼ばれる。解剖学的には,最も初期の変化は卵円窓前方でサジ状突起付近のfissula antefenestramに生じ,のちに蝸牛や前庭に進展していく。前者をfenestral typeと呼び,主に伝音難聴を呈し,蝸牛に進展した状態をretrofenestral(あるいはcochlear)typeと呼び,通常は感音難聴を呈するようになる。両者の混合もみられる。
耳硬化症の典型的な診断は,臨床診断は鼓膜所見が正常な両側性の進行性伝音難聴という病歴によって行われ,最終診断は病理組織学的所見によって確認される,ということが多かった。しかし近年の画像診断の進歩から,耳硬化症を初期の段階から画像により診断できる確率が高くなってきており,また予後予測や手術成績の予測にも用いることができるようになってきたため,画像診断の重要性が増している。Retrofenestral typeはほかに側頭骨に異常をきたす病変,すなわち骨Paget病やVan der Hoeve症候群をはじめとするosteogenesis imperfecta(OI)などとの鑑別を要する。
参考文献
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