文献詳細
増刊号 画像診断パーフェクトガイド―読影のポイントとピットフォール
部位別診断法 Ⅲ.口腔・咽頭・唾液腺
文献概要
画像診断の狙い
扁桃周囲膿瘍,咽後膿瘍ともに代表的な深頸部感染症である。扁桃周囲膿瘍は口蓋扁桃被膜と咽頭収縮筋および頰咽頭筋膜(深頸筋膜中葉)との間にある扁桃周囲隙に生じる膿瘍である。咽後膿瘍は狭義には咽後隙(後内臓葉と翼状葉に囲まれた間隙,頭蓋底から第1胸椎までの高さ)に膿瘍を形成したものを意味するが,広義には危険隙(翼状葉と椎前葉の間,頭蓋底から横隔膜までの高さ),椎前隙(椎前葉と椎体の間,頭蓋底から尾骨までの高さ),これら3つの間隙のいずれかに膿瘍が形成された場合にも用いられている(図1)。
両者において画像診断は,①膿瘍の確定診断(蜂窩織炎,リンパ節炎,リンパ節膿瘍の鑑別),②膿瘍の部位・進展度診断(周囲間隙,縦隔への波及の有無),③類似した症状・臨床所見を呈する疾患の鑑別に不可欠である。①については静脈的抗菌薬投与が治療として選択される。②については,気道の狭小化の有無が気管切開などの気道確保の必要性の判断,治療方法(切開,排膿)とその経路の選択に参考となる。③の鑑別すべき疾患としては,扁桃周囲膿瘍では口蓋扁桃悪性腫瘍,Lemierre症候群,咽後膿瘍では急性石灰沈着性頸長筋腱炎,川崎病,化膿性脊椎炎,結核,異物が挙げられる。
扁桃周囲膿瘍,咽後膿瘍ともに代表的な深頸部感染症である。扁桃周囲膿瘍は口蓋扁桃被膜と咽頭収縮筋および頰咽頭筋膜(深頸筋膜中葉)との間にある扁桃周囲隙に生じる膿瘍である。咽後膿瘍は狭義には咽後隙(後内臓葉と翼状葉に囲まれた間隙,頭蓋底から第1胸椎までの高さ)に膿瘍を形成したものを意味するが,広義には危険隙(翼状葉と椎前葉の間,頭蓋底から横隔膜までの高さ),椎前隙(椎前葉と椎体の間,頭蓋底から尾骨までの高さ),これら3つの間隙のいずれかに膿瘍が形成された場合にも用いられている(図1)。
両者において画像診断は,①膿瘍の確定診断(蜂窩織炎,リンパ節炎,リンパ節膿瘍の鑑別),②膿瘍の部位・進展度診断(周囲間隙,縦隔への波及の有無),③類似した症状・臨床所見を呈する疾患の鑑別に不可欠である。①については静脈的抗菌薬投与が治療として選択される。②については,気道の狭小化の有無が気管切開などの気道確保の必要性の判断,治療方法(切開,排膿)とその経路の選択に参考となる。③の鑑別すべき疾患としては,扁桃周囲膿瘍では口蓋扁桃悪性腫瘍,Lemierre症候群,咽後膿瘍では急性石灰沈着性頸長筋腱炎,川崎病,化膿性脊椎炎,結核,異物が挙げられる。
参考文献
1)Holmes SB, et al:Squamous cell carcinoma presenting as a peritonsillar abscess. Br J Oral Maxillofac Surg 39:46-48, 2001
2)中西 啓・他:Lemierre症候群例.耳鼻臨床101:473-477,2008
3)服部佳世子・他:咽後膿瘍類似の所見を呈した川崎病例.耳鼻臨床105:453-456,2012
4)木内庸雄・他:結核性咽後膿瘍の2症例.日耳鼻18:385-391,2006
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