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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科86巻6号

2014年05月発行

雑誌目次

特集① 学校保健と耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.401 - P.401

耳鼻咽喉科学校保健の歴史・現状の課題・将来展望

著者: 神田敬

ページ範囲:P.402 - P.406

POINT

●学校保健の意義と目的は検診のみでなく,健康教育,健康相談,保健指導が重要である。

●耳鼻咽喉科の学校保健は,聴覚をはじめとする感覚器の発達のチェックをすることが目的で,聴覚と言語のコミュニケーション障害に対応することが大切である。

●少子社会の現況では,重点的検診の見直しと未健診地区の解消が急務である。

●将来的には保健指導に,耳鼻咽喉科領域ばかりでなく学校医として幅広く取り組む必要があり,また地域の担い手として学校-家庭-地域の連携の要として活動することが重視されることになろう。

学校保健での聴覚障害児の実際

著者: 沖津卓二

ページ範囲:P.408 - P.414

POINT

●児童難聴の発見率の推移を示した。

●難聴の原因疾患の変遷について紹介した。

●機能性難聴の著しい増加がみられる。

●むずかしい軽・中等度感音難聴の発見ができる最後の砦。

●学校における対応と今後の課題。

学校保健での言語障害検診の意義と検査法

著者: 宇高二良

ページ範囲:P.416 - P.422

POINT

●言語検診で発見される言語異常の背景には知的障害や発達障害が潜んでいることが少なくない.

●言語異常に関する保護者の認識は低いため,疾病概念や問題点を説明し,治療を促す必要がある.

●言語異常の大半は医学的問題であり,教育的配慮がなされる前に医学的診断・治療を行わなければならない.

●学校健診はすべての児童生徒の言語能力を横断的かつ縦断的に観察できる貴重な機会である.

学校保健での音声障害児の実際

著者: 大島清史

ページ範囲:P.424 - P.428

POINT

●音声障害はコミュニケーション障害として学校生活に大きくかかわるが,学校職員ばかりでなく,学校医からも看過される傾向がある。

●学校健診はスクリーニングにすぎないので,事後措置での診断が重要で,受診する医療機関,保護者,学校医,学校関係者などの相互の協力が必要となる。

●小児音声障害の原因としては声帯結節が多く,喉頭乳頭腫にも注意が必要である。

●機能的音声障害への対応や声の衛生指導など,学校生活での配慮が望ましい。

学校保健での睡眠時呼吸障害

著者: 工藤典代

ページ範囲:P.430 - P.435

POINT

●学童生徒には睡眠時呼吸障害の疑いのある児が3~4%存在することが学校保健会の調査研究で明らかになった。

●児童生徒に睡眠時呼吸障害があると,日中の活動,勉学,性格などにも影響が生じる。

●子どもに「いびきがある」「鼻がつまる」と,「学習意欲」や「落ち着き」に影響をきたす傾向がある。

●原因疾患の多くはアデノイドや口蓋扁桃肥大,アレルギー性鼻炎・鼻副鼻腔炎であり,それぞれ手術適応,保存療法の対象となる。

●児童生徒にかかわる医療者や学校関係者が睡眠時呼吸障害の知識をもち,疑いがあれば医療機関につなぐことが重要である。

特集② 歯科口腔外科の話題

ページ範囲:P.437 - P.437

顎関節症

著者: 木野孔司

ページ範囲:P.438 - P.442

POINT

●顎関節症の改訂された概念を呈示した。

●顎関節症の新しい病因論について紹介した。

●顎関節症の病因治療をまとめた。

●顎関節症の病態治療について紹介した。

要介護高齢者の命を支える口腔ケア

著者: 角保徳 ,   平識善大 ,   藤田恵未

ページ範囲:P.444 - P.449

POINT

●高齢者のQOL維持には,楽しく安全で美味しい食事による栄養摂取,口腔疾患の予防,口腔機能の維持が不可欠である。

●口腔ケアは,単に口腔を清潔にするのみではなく,誤嚥性肺炎などの全身疾患を予防し,「食べる」ことの楽しみを与え,生きる力の源として高齢者のQOLに直結し,高齢者の全身疾患の改善や健康増進に向けた医療の一環と考えられるようになってきた。

●口腔ケアで口腔機能の向上を果たすことにより,誤嚥性肺炎などの全身感染症の予防や低栄養の予防などが報告されており,医療,看護・介護の現場で,チームアプローチによる口腔ケアの普及が強く望まれる。

●本稿では,口腔ケアの重要性とその方法について記載した。

歯科口腔外科と再生医療

著者: 高戸毅 ,   藤原夕子 ,   星和人

ページ範囲:P.450 - P.456

POINT

●歯,歯周組織,骨,軟骨,粘膜,唾液腺,神経など,歯科口腔外科領域の再生医療の研究分野は多岐にわたる。

●マウスにおいて,歯,歯根膜,歯槽骨で構成される再生歯ユニットの作製と,顎骨への移植が報告されている。

●歯周病治療として,歯根膜シート,培養骨膜シート,骨髄由来間葉系幹細胞などの移植が臨床応用されている。

●顎骨再建を目的としたβリン酸三カルシム(βTCP)の骨補塡材や,自己骨髄由来細胞に多血小板血漿などを組み合わせた移植材料,骨欠損部に適合するカスタムメイド型の人工骨などが開発されている。強度に課題がある。

●適切な3次元形態と強度を有する再生軟骨が,鼻変形の治療目的で臨床導入されている。

歯科口腔外科とアンチエイジング

著者: 阪井丘芳

ページ範囲:P.458 - P.462

POINT

●口腔は消化管の入口であり,全身の健康に深く関与している。

●アンチエイジング(抗加齢)医学とは,生物学的な加齢のメカニズムを理解し,老化の原因となる食事,生活習慣などを解明し,老化の病的進行を抑制しようとするものである。

●口腔環境を整え,口腔機能を維持することは,さまざまな全身疾患の発症を抑えて,病的老化の進行を抑制するために重要である。

●歯科口腔外科医の立場から,口腔領域のアンチエイジングについて紹介する。

口腔インプラント治療の口腔顎顔面領域への応用

著者: 河奈裕正

ページ範囲:P.465 - P.472

POINT

●口腔インプラントの歴史について紹介した。

●歯の欠損,歯と顎の欠損,顔面の欠損に伴う適応症をまとめた。

●代表的な治療術式をまとめた。

●腫瘍治療におけるインプラント治療を紹介した。

●鼻・副鼻腔疾患とインプラント治療について触れた。

原著

頰骨弓下に発生した多形型脂肪肉腫の1症例

著者: 平賀幸弘 ,   霜村真一 ,   黄淳一 ,   金井真理 ,   小山敏雄

ページ範囲:P.473 - P.477

はじめに

 わが国における骨軟部悪性腫瘍の発生率は10万人に2人で,剖検数からみた全悪性腫瘍に占める頻度は0.14%である1)。そのうち,脂肪肉腫の発生頻度は38.4%と最も高い2)。しかし,頭頸部における発生は全肉腫中の1.0~2.4%と稀であり2~5),全脂肪肉腫中の1.5~4.4%と報告されている4,6,7)。頭頸部の発生部位では頸部が最も多く,頰部の発生はきわめて稀である3,6)

 今回われわれは,20代男性の右頰骨弓下に発生した多形型脂肪肉腫(pleomorphic liposarcoma:PLS)の1症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。

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欧文目次

ページ範囲:P.397 - P.397

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.479 - P.479

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.480 - P.480

投稿規定

ページ範囲:P.482 - P.482

著作権譲渡同意書

ページ範囲:P.483 - P.483

あとがき

著者: 丹生健一

ページ範囲:P.484 - P.484

 ゴールデンウイークも終わり,今週木曜日(5月15日)から日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会です。私はシンポジウム「耳鼻咽喉科領域における再生医療の最前線」で「嗅覚の再生医療」を担当します。視覚や聴覚と同様に嗅覚も加齢とともに衰えます。でも,嗅神経細胞には終生再生を繰り返すという機能を本来の能力として備えています。嗅覚は再生医療の研究の成果を最も活かせる感覚器です。SATP細胞のような「コペルニクス革命的発見」はなく,「明日からの診療にすぐに役立つ」というわけにもいきませんが,これまでの研究成果を中心に夢のあるお話をしようと思っています。

 さて,今月号の特集1つ目は「学校保健と耳鼻咽喉科」です。学校健診では耳鼻咽喉科疾患を見つけることも大切ですが,教育を受けるうえで障害となる聴覚や音声言語の障害を見いだすという重要な役割を担っています。しかし学校健診は開業の先生方に頼ることが多く,われわれ勤務医はどうしてもこの分野について勉強不足になりがちです。本特集では学校保健や小児医療に永年かかわってこられた先生方に学校健診の現状と難聴,音声言語障害,睡眠障害について解説していただいています。学校保健に携っておられる方はもちろん,勤務医の皆様もぜひお読みください。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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