耳鼻咽喉科・頭頸部外科86巻6号

2014年05月発行

特集① 学校保健と耳鼻咽喉科

学校保健での睡眠時呼吸障害

著者： 工藤典代¹

所属機関： ¹千葉県立保健医療大学健康科学部栄養学科

ページ範囲：P.430 - P.435

文献概要

POINT

●学童生徒には睡眠時呼吸障害の疑いのある児が3～4％存在することが学校保健会の調査研究で明らかになった。

●児童生徒に睡眠時呼吸障害があると，日中の活動，勉学，性格などにも影響が生じる。

●子どもに「いびきがある」「鼻がつまる」と，「学習意欲」や「落ち着き」に影響をきたす傾向がある。

●原因疾患の多くはアデノイドや口蓋扁桃肥大，アレルギー性鼻炎・鼻副鼻腔炎であり，それぞれ手術適応，保存療法の対象となる。

●児童生徒にかかわる医療者や学校関係者が睡眠時呼吸障害の知識をもち，疑いがあれば医療機関につなぐことが重要である。

参考文献

1）Gozal D：Sleep-disordered breathing and school performance in children. Pediatrics 102：616-620, 1998

2）Gozal D, et al：Snoring during early childhood and academic performance at ages thirteen to fourteen years. Pediatrics 107：1394-1399, 2001

3）Ting H, et al：Sleep-disordered breathing, behavior, and academic performance in Taiwan schoolchildren. Sleep Breath 15：91-98, 2011

4）工藤典代・他：小児睡眠時無呼吸症候群に対する学校保健の取り組み．口咽科22：143-147，2009

5）工藤典代：睡眠時無呼吸症候群―よりよい診療のために．日常生活への影響―学校保健の立場から．小児耳鼻咽喉科31：204-208，2010

6）Burwell CS, et al：Extreme obesity associated with alveolar hypoventilation―A Pickwickian Syndrome. Am J Med 21：811-818, 1956

7）少年Joe：http://ibiki.net/kan-burwell.htm

8）American Academy of Sleep Medicine，日本睡眠学会診断分類委員会訳：閉塞性睡眠時無呼吸症候群8．小児の閉塞性睡眠時無呼吸，睡眠障害国際分類　第2版　診断とコードの手引き．医学書院，東京，2010，pp57-60

9）中田誠一・他：小児の睡眠呼吸障害の診断1．診断基準．小児の睡眠呼吸障害マニュアル，宮崎総一郎，千葉伸太郎，中田誠一（編）．全日本出版会，東京，2012，pp53-57

10）工藤典代：Ⅳ小児の睡眠呼吸障害の疫学2．学校保健課愛全国調査．小児の睡眠呼吸障害マニュアル，宮崎総一郎，千葉伸太郎，中田誠一（編）．全日本出版会，東京，2012，pp45-50

11）宮本茂樹・佐々木望・工藤典代・他：Pickwickian症候群の一男児例―肥満と呼吸障害の関係について．小児科臨床44：2425-2428，1991