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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科86巻7号

2014年06月発行

文献概要

原著

下顎正中離断法にて摘出した巨大な副咽頭間隙傍神経節腫の1例

著者: 鈴木法臣1 渡部佳弘2 橋口さゆり1 石岡薫3 川崎泰士1 和佐野浩一郎1 行木一郎太1 行木英生1

所属機関: 1静岡赤十字病院耳鼻咽喉科・気管食道科 2慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科 3国際医療福祉大学熱海病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.575 - P.580

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はじめに

 副咽頭間隙は頭蓋底を底,舌骨大角を頂点とする逆円錐形をなしており,内側は咽頭収縮筋,咽頭壁,外側は内側・外側翼突筋,下顎骨,耳下腺深葉,顎二腹筋後腹,後方は椎骨,椎前筋に囲まれている1)。副咽頭間隙には神経系組織(複数の脳神経と自律神経)と脈管系組織(頸動脈,頸静脈,リンパ組織)が脂肪組織に覆われて,頸部と頭蓋内を交通する解剖組織として存在する。副咽頭間隙に発生する原発腫瘍としては神経系起源,脈管系起源,および間葉系起源の腫瘍があるが,さらに間隙の壁を構成する5つの解剖面からも鑑別すべき腫瘍が発生する。

 今回われわれは血管網に覆われた巨大な傍神経節腫に対して,手術合併症を最小限に抑えて全摘出するには,どのような配慮が必要であるのかを検討したので報告する。

参考文献

1)石川紀彦:副咽頭間隙手術のための臨床解剖.耳鼻咽喉科臨床プラクティス,8.耳鼻咽喉科・頭頸部外科のための臨床解剖,岸本誠司(編).文光堂,東京,2005,pp86-89
2)鈴木 衛.他:三次元臓器モデル.JOHNS 26:913-919,2010
3)吉原俊雄:副咽頭間隙腫瘍.頭頸部外科12:21-26,2002
4)冨田俊樹・他:副咽頭間隙腫瘍の外科的治療.日耳鼻109:88-95,2006
5)角 卓郎・他:副咽頭間隙腫瘍.JOHNS 20:1403-1406,2004
6)Olsen KD:Tumors and surgery of the parapharyngeal space. Laryngoscope 104:1-28, 1994
7)稲垣洋三・他:副咽頭間に進展した頭蓋底髄膜腫例.耳鼻臨床103:53-57,2010
8)Kanzaki S, et al:Standarlized method of selecting surgical approaches to benign parapharyngeal space tumors, based on pre-operative images. J Laryngol Otol 122:628-634, 2008
9)河田 了:副咽頭間隙腫瘍.JOHNS 15:1373-1376,1999
10)西川邦男:副咽頭間隙腫瘍.ENTONI 2:47-59,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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