文献詳細
特集① 特殊な外耳・中耳炎の治療
文献概要
POINT
●MRSA中耳炎の外来処置は,鼓室処置による耳漏の除去と生理食塩水による洗浄を頻回に行うことが重要である。
●治療期間を短縮するためにブロー液やムピロシン軟膏の使用が試みられているが,内耳障害などの副作用に注意が必要である。
●MRSA耳漏を認める中耳疾患の周術期には,感受性のある抗菌薬を適切に使用すること,人工材料を避けること,充塡術を避けることで,ある程度感染を制御できる。
●術後や術中にMRSAが検出された場合は治療に難渋することを経験するので,術後感染の早期発見が重要である。
●MRSA中耳炎の外来処置は,鼓室処置による耳漏の除去と生理食塩水による洗浄を頻回に行うことが重要である。
●治療期間を短縮するためにブロー液やムピロシン軟膏の使用が試みられているが,内耳障害などの副作用に注意が必要である。
●MRSA耳漏を認める中耳疾患の周術期には,感受性のある抗菌薬を適切に使用すること,人工材料を避けること,充塡術を避けることで,ある程度感染を制御できる。
●術後や術中にMRSAが検出された場合は治療に難渋することを経験するので,術後感染の早期発見が重要である。
参考文献
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