文献詳細
原著
血清可溶性インターロイキン-2レセプターとチミジンキナーゼ活性測定の悪性リンパ腫診断における有用性
著者: 平賀幸弘1 霜村真一1 黄淳一1 金井真理1
所属機関: 1山梨県立中央病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.753 - P.757
文献概要
悪性リンパ腫(malignant lymphoma:ML)は頭頸部領域に初発する症例が多く,しばしば耳鼻咽喉科初診となるが,試験切除などの診断確定を目的に血液内科や化学療法科から診察を依頼されることも多い。しかし,組織試験切除術やリンパ節摘出術を行っても,炎症,感染症,良性疾患や上皮性悪性腫瘍の場合もあり,診断確定には苦慮することが多い。また,それら検査を繰り返さざるを得ないために,患者の負担も大きい。
血清可溶性インターロイキン-2レセプター(soluble IL-2 receptor:sIL-2R)とチミジンキナーゼ(thymidine kinase:TK)活性は,血液悪性腫瘍のマーカーとして保険が適応されており,特にMLの再発時に有意に測定値が上昇する症例が多いことから1),経過観察に有効な腫瘍マーカーとして用いられている。一方,耳鼻咽喉科・頭頸部外科の領域では前述のとおりMLあるいはその疑い症例に遭遇する機会は多いが,文献的に渉猟した限りでは初回診察に際してのスクリーニングを目的とした上記2マーカーの有用性を検討した報告はなく,わずかにsIL-2R測定値による予後を検討した報告がみられるのみであった2)。
当科では,日常の一般外来診察でMLが疑われた症例の初回診察時に,両者同時に測定を行い診断の補助としてまた試験切除術決定の判断基準としてきた。今回,この2マーカーの測定結果をレトロスペクティブに統計的解析を行い,いずれのマーカーが,またいかなる測定法が最も望ましいかを確定することが本報告の目的である。
参考文献
掲載誌情報