文献詳細
原著
非特異的喉頭肉芽腫症38例の検討
著者: 四宮弘隆1 森本浩一1 齋藤幹1 大月直樹1 丹生健一1
所属機関: 1神戸大学医学部附属病院耳鼻咽喉・頭頸部外科
ページ範囲:P.915 - P.919
文献概要
非特異的喉頭肉芽腫症は披裂軟骨声帯突起部に好発する隆起性病変で,咽喉頭胃酸逆流症や,過度の発声,咳,気管内挿管などにより発生する1)。好発部位が声帯後方であることから,増大しないと嗄声の症状は生じにくい。しかし,しばしば咽喉頭違和感の原因となり,手術で切除を行っても発生原因の除去ができていない場合,高頻度に再発する2,3)。このため発生要因を推定し,胃酸分泌抑制薬の内服,副腎皮質ステロイド薬の吸入,鎮咳薬などの組み合わせで治療を行うが,こうした集学的治療に抵抗を示す症例も少なくない。最近,声の衛生指導や音声治療により過度の発声習慣を改善することが,こうした治療抵抗性の喉頭肉芽腫症に有効であるとの報告がみられるようになってきた4)。今回,われわれは,喉頭肉芽腫症に対する最も適した治療のストラテジーを検討するために,当科における喉頭肉芽腫症例の臨床的検討を行ったので,若干の文献的考察を含めて報告する。
参考文献
掲載誌情報