耳鼻咽喉科・頭頸部外科87巻12号

2015年11月発行

特集 これだけは知っておこう—鼻出血への対応法 《止血法》

蝶口蓋動脈凝固術

著者： 阿部靖弘¹ 太田伸男¹ 新川智佳子¹

所属機関： ¹山形大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座

ページ範囲：P.1024 - P.1027

POINT

●鼻腔後方からの出血は，鼻中隔彎曲や鼻粘膜腫脹などにより正確な出血部位が同定できない場合がある。

●出血に対する後鼻タンポンは，止血効果より誤嚥や気道閉塞の防止に重要である。

●難治性出血例に超音波凝固術を用いた内視鏡下蝶口蓋動脈凝固術が有効である。

●蝶口蓋動脈凝固術に先だって，ワーキングスペースの確保のため鼻中隔矯正術，粘膜下下鼻甲介骨切除術を行う。

●蝶口蓋動脈凝固術は低侵襲であるため，出血性基礎疾患例，抗血小板薬・抗凝固薬内服例も適応となる。

参考文献

1）北村拓朗：外来ですぐに役立つ鼻出血の処置　後鼻タンポンのコツ．ENTONI 98：23-26，2009

2）夜陣紘治・他：鼻出血の手術治療．JOHNS 16：1629-1633，2000

3）Cullen MM, et al：Comparison of internal maxillary artery ligation versus embolization for refractory posterior epistaxis. Otolaryngol Head Neck Surg 118：636-642, 1998

4）新川智佳子・他：内視鏡下蝶口蓋動脈の有効性．日鼻誌49：501-506，2010

5）阿部靖弘・他：鼻副鼻腔の手術 アレルギー性鼻炎に対する手術．耳喉頭頸87：88-90，2015