原著
鼻中隔前彎を伴う斜鼻に対して鼻骨骨切り術と鼻中隔矯正術の一期的手術を行った1例
著者:
平位知久
,
福島典之
,
永松将吾
,
宮原伸之
,
三好綾子
,
有木雅彦
ページ範囲:P.1141 - P.1146
はじめに
斜鼻は軟骨性斜鼻と骨性斜鼻,またはその両者が合併したものに大別される1)。いずれの斜鼻であっても,中等度以上の鼻中隔彎曲症を伴うことが多いため,手術に際しては整容面の整復だけでなく,鼻閉の解除という機能面の改善も同時に達成されることが望ましい。しかし,骨性斜鼻に対して鼻骨骨切り術と鼻中隔矯正術を一期的に施行することは,術後に鞍鼻を起こすなどのリスクが懸念され禁忌とされてきた2)。近年,佐久間ら3)は鼻中隔矯正時に鼻尖側を8mm,鼻背側を10mm以上の範囲で鼻中隔軟骨を温存することで,両者の一期的手術が可能であると報告した。しかし,その際に選択される鼻中隔矯正術はKillian法であるため,鼻中隔前彎が高度な場合は適応外とされている。このたび,鼻中隔前彎を伴う骨性斜鼻に対して,hemitransfixion approachを用いた鼻中隔矯正術4,5)を適用することにより,鼻骨骨切り術と鼻中隔矯正術を一期的に施行し良好な結果が得られたので,本症例の術式および臨床経過について報告する。