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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科87巻13号

2015年12月発行

原著

鼻中隔前彎を伴う斜鼻に対して鼻骨骨切り術と鼻中隔矯正術の一期的手術を行った1例

著者: 平位知久1 福島典之1 永松将吾2 宮原伸之1 三好綾子1 有木雅彦1

所属機関: 1県立広島病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科 2県立広島病院形成外科

ページ範囲:P.1141 - P.1146

文献概要

はじめに

 斜鼻は軟骨性斜鼻と骨性斜鼻,またはその両者が合併したものに大別される1)。いずれの斜鼻であっても,中等度以上の鼻中隔彎曲症を伴うことが多いため,手術に際しては整容面の整復だけでなく,鼻閉の解除という機能面の改善も同時に達成されることが望ましい。しかし,骨性斜鼻に対して鼻骨骨切り術と鼻中隔矯正術を一期的に施行することは,術後に鞍鼻を起こすなどのリスクが懸念され禁忌とされてきた2)。近年,佐久間ら3)は鼻中隔矯正時に鼻尖側を8mm,鼻背側を10mm以上の範囲で鼻中隔軟骨を温存することで,両者の一期的手術が可能であると報告した。しかし,その際に選択される鼻中隔矯正術はKillian法であるため,鼻中隔前彎が高度な場合は適応外とされている。このたび,鼻中隔前彎を伴う骨性斜鼻に対して,hemitransfixion approachを用いた鼻中隔矯正術4,5)を適用することにより,鼻骨骨切り術と鼻中隔矯正術を一期的に施行し良好な結果が得られたので,本症例の術式および臨床経過について報告する。

参考文献

1)矢野浩規・他:斜鼻変形の形成術.PEPARS 12:53-58,2006
2)Rees TD, et al:Correction of the deviated nose:Aesthetic Plastic Surg, ed by Rees TD. WB Saunders, Philadelphia, 1980, pp284-319
3)佐久間文子・他:斜鼻—鼻骨骨切り術と鼻中隔矯正術の一期的手術.形成外科55:831-841,2012
4)Williams Rl, et al:Hemitransfixion approach to problems of the nasal septum. Laryngoscope 77:1116-1120, 1967
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12)土佐泰祥・他:斜鼻—骨軟骨・その他による治療法.形成外科55:843-850,2012
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14)柳 清:鼻中隔手術—鼻中隔の上前方の切除範囲.イラスト手術手技のコツ 耳鼻咽喉科・頭頸部外科—耳・鼻編第2版,村上 泰(監),飯沼壽孝・他(編).東京医学社,東京,2006,p269

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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