文献詳細
原著
鼻腔内に萌出した逆生歯牙の2例
著者: 窪田雄一1 藤尾久美1 井之口豪1 長谷川信吾1 山崎隆2 大月直樹1 丹生健一1
所属機関: 1神戸大学大学院医学研究科外科系講座耳鼻咽喉科頭頸部外科学分野 2神戸大学大学院医学研究科病理部学講座病理診断学分野
ページ範囲:P.237 - P.241
文献概要
逆生歯牙とは歯冠部が正常の萠出方向と逆方向にあり,鼻腔や上顎洞,上顎骨内に転位した歯牙を指す。1754年Albinusにより初めて報告され,わが国では1901年に金杉1)が最初に報告している。症例報告は比較的稀であり,無症状のまま経過する症例も存在する。しかし無治療の場合,鼻閉,鼻出血,鼻汁,頬部痛,上顎洞炎,蜂窩織炎,鼻腔口腔間瘻孔,歯原性囊胞など起こりうる付随症状や合併症は多岐にわたる。鼻・副鼻腔腫瘤を確認した際には鑑別診断の1つとして逆生歯牙を挙げ,的確に診断をすることが重要である。今回われわれは,鼻腔内腫瘤として発見された逆生歯牙を2例経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。
参考文献
掲載誌情報