文献詳細
原著
外科的介入を行った直腸癌甲状腺転移の1例
著者: 田所慎1 溝上大輔1 原田栄子1 神藤英二2 荒木幸仁1 山下拓1 塩谷彰浩1
所属機関: 1防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座 2防衛医科大学校外科学講座
ページ範囲:P.341 - P.345
文献概要
直腸癌の他臓器への転移は首位が肝臓(直腸癌全体の9.5%),次いで腹膜(3.0%),肺(1.7%),骨(0.3%),脳(0.1%)と続く1)。治療はおもに外科的治療および化学療法,放射線療法を症例に応じて選択し,原発巣および遠隔転移巣がともに切除可能な場合には特に外科治療を考慮する。肝転移に対しては熱凝固療法も選択可能である1)。これら直腸癌遠隔転移例の治療後の予後は,肝切除後の5年生存率が20〜50%,肺切除後の5年生存率が30〜60%と比較的良好である2,3)。
一方,直腸癌の甲状腺への転移は上記に比べ稀とされていたが,近年頭頸部画像診断の進歩により報告例が増加している。しかし手術適応に関してはいまだに一定の見解が得られていない。今回われわれは直腸癌の甲状腺転移の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
参考文献
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