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増刊号 こんなときの対応法がわかる 耳鼻咽喉科手術ガイド Ⅲ.口腔咽頭・唾液腺の手術
耳下腺拡大全摘術
著者: 河田了1
所属機関: 1大阪医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
ページ範囲:P.131 - P.135
文献購入ページに移動はじめに
口腔癌,咽頭癌,喉頭癌などの頭頸部扁平上皮癌は比較的症例数が多く,それらの治療方針は部位別,病期別にほぼ確立されている。一方,耳下腺癌の場合,組織別,病期別の治療方針が確立されているとは言い難く,一定の方針で治療を行っている施設はむしろ少ないと思われる。耳下腺癌の特徴として,①症例数が少ないこと,②病理組織型が多彩で,それぞれの組織型が特徴的な腫瘍活性を有していること,③低悪性癌が少なくないこと,④術前の病理組織型診断が困難なこと,⑤耳下腺内に顔面神経が走行していること,が挙げられる1)。以上のような特殊性をもつ耳下腺癌であるが,治療の第一選択が手術であることには異論がない2)。
拡大切除という観点から考えてみたとき,組織型・悪性度の術前診断ができているのか,顔面神経温存あるいは切除についてどう考えるのかという問題点がある。頭頸部扁平上皮癌のように単にステージだけで方針が決定できないことが難しい点である。
口腔癌,咽頭癌,喉頭癌などの頭頸部扁平上皮癌は比較的症例数が多く,それらの治療方針は部位別,病期別にほぼ確立されている。一方,耳下腺癌の場合,組織別,病期別の治療方針が確立されているとは言い難く,一定の方針で治療を行っている施設はむしろ少ないと思われる。耳下腺癌の特徴として,①症例数が少ないこと,②病理組織型が多彩で,それぞれの組織型が特徴的な腫瘍活性を有していること,③低悪性癌が少なくないこと,④術前の病理組織型診断が困難なこと,⑤耳下腺内に顔面神経が走行していること,が挙げられる1)。以上のような特殊性をもつ耳下腺癌であるが,治療の第一選択が手術であることには異論がない2)。
拡大切除という観点から考えてみたとき,組織型・悪性度の術前診断ができているのか,顔面神経温存あるいは切除についてどう考えるのかという問題点がある。頭頸部扁平上皮癌のように単にステージだけで方針が決定できないことが難しい点である。
参考文献
1)河田 了:耳下腺癌の診断と治療,診断および治療上の問題点と最近の動向.耳鼻臨床103:789-803,2010
2)日本頭頸部癌学会編:頭頸部癌診療ガイドライン2013年度版.金原出版,東京,2013,pp38-41
3)Aivi A, et al:Malignant tumors of the salivary glands. Cancer of the Head and Neck. Third edition, eds by Myers EN, Suen JY. WB Saunders, Philadelplia, 1997, pp521-561
4)Vincentiis MD, et al:Extended parotidectomy. Acta Otolaryngol Ital 25:169-173, 2005
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