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増刊号 こんなときの対応法がわかる 耳鼻咽喉科手術ガイド Ⅳ.喉頭・下咽頭の手術
声帯萎縮に対する手術
著者: 齋藤康一郎1 矢部はる奈2
所属機関: 1杏林大学医学部耳鼻咽喉科 2川崎市立井田病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.168 - P.172
文献購入ページに移動症例1:声帯内コラーゲン注入術(図1)
37歳,男性。数年前から徐々に増悪する嗄声と音声疲労を主訴に受診した。内視鏡検査では声帯溝症の合併を認めたが,発声時声門閉鎖不全は軽度で,最長発声持続時間(MPT)は12秒,聴覚印象評価はG2R0B2A0S1,呼気流率は楽な発声(MFRc)で417.7mL/s,最長持続発声時(MFRm)で366.2mL/sであった。
声帯ポリープの合併も認めたため,初回手術時には全身麻酔下にポリープ切除と同時に声帯内コラーゲン注入を行ったが,そのあとは外来にて4か月間隔で2回,さらに6か月,10か月の間隔で合計5回の注入を行った。2回目から5回目の注入直前のMPTは,それぞれ14秒,17.5秒,17秒,27秒と徐々に延長した。最終注入後4か月の時点でMPTは33秒,聴覚印象評価はG1R1B1A0S1,MFRcは376.3mL/s,MFRmは240.6mL/sと改善した。内視鏡検査でも発声時の声門閉鎖不全の著明な改善を認め,ストロボスコピーにて良好な粘膜波動を認めた。
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