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増刊号 こんなときの対応法がわかる 耳鼻咽喉科手術ガイド Ⅳ.喉頭・下咽頭の手術
下咽頭表在癌:経口的下咽頭切除術
著者: 楯谷一郎1 森田周子2 船越真木子3 林智誠3 石川征司1 岸本曜1 武藤学3
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科 2神戸中央市民病院消化器内科 3京都大学大学院がん薬物治療科
ページ範囲:P.239 - P.242
文献購入ページに移動52歳,男性。3か月前から軽度の咽頭痛を自覚していた。他院で食思不振の精査目的で上部消化管内視鏡検査を施行したところ下咽頭に腫瘤を指摘され,当科へ紹介となった。初診時,右披裂部に表面不整な病変を認め,生検にて扁平上皮癌の診断であった。内視鏡上,通常光では,右披裂部に限局した表面不整な腫瘤を認めたが,narrow band imaging(NBI)での観察では披裂部の腫瘤に加え,喉頭内腔側と披裂部尾側に向けて異型血管を伴う扁平なbrownish areaが進展していた(図1)。なお,病変全体は直径2cmを越えていると思われたが,食道入口部には及んでいなかった。頸部MRI,頸部CT,頸部エコー,PET検査を行ったが,原発巣は画像上指摘できず,また頸部リンパ節転移,遠隔転移を疑わせる所見を認めなかった。以上より,下咽頭扁平上皮癌右梨状陥凹型cT2N0M0と診断した。
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