あとがき
著者:
小川郁
ページ範囲:P.656 - P.656
2015年5月20日(水)〜23日(土)の4日間,東京国際フォーラムを主会場として第116回日耳鼻学会総会・学術講演会を主催させていただきました。慶應義塾大学耳鼻咽喉科学教室としましては今回が4回目の担当ということになりますが,1951年の第52回を故西端驥一教授が担当したのが最初で,その後,1984年に故斉藤成司教授が第85回総会・学術講演会をホテルニューオータニで,2000年には第101回を神崎 仁教授が担当され,明治記念館と明治神宮会館で開催されたことはまだ記憶に新しいことです。宿題報告は村上信五名古屋市立大教授による「ウイルス性顔面神経麻痺—病態と後遺症克服のための新しい治療—」と宇佐美真一信州大教授による「難聴の遺伝子診断とその社会的貢献」,特別講演は岡野栄之慶應大生理学教授による「iPS細胞技術を用いた中枢神経系および内耳の再生医学と疾患研究」と村木厚子厚生労働省事務次官による「男女ともに働きやすい職場を目指して」,招待講演はD Bradley Wellingハーバード大教授による「Treatment Options and Outcomes in Vestibular Schwannomas」で,いずれも素晴らしい内容で聴衆の感動を呼びました。その他,2つのシンポジウム,1つのパネルディスカッション,臨床セミナーとモーニングセミナーが各10テーマ,ランチョンセミナー15テーマ,そして,一般演題が約580題と大変盛りだくさんの内容で,研修医・医学生や関係者を含めますと約5700名の参加者がありました。ご参加いただきました先生には改めて御礼申し上げます。
さて,今月号は「特集① 突発性難聴とその周辺疾患」と「特集② 味と味覚障害の最前線」の2つの特集です。「突発性難聴」では,10年に1度の頻度で実施されている疫学調査の紹介,病態では,循環障害説・ウイルス説に加えて近年,注目されているストレス応答説に触れていただきました。臨床で述べていただいているように,罹患者数も増加傾向にあり,発症後数か月で固定する特徴を考慮した後遺症への対応も重要になってきます。周辺疾患の論文を含めて,日常の臨床に役立てていただければと思います。