耳鼻咽喉科・頭頸部外科88巻13号

2016年12月発行

特集 聴神経腫瘍診療のNew Concept

《治療戦略》

手術：経迷路法・中頭蓋窩法

著者： 山本裕¹

所属機関： ¹東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲：P.1032 - P.1038

文献概要

POINT

●術式の選択に際しては，腫瘍の大きさと性状，患者の年齢のほか，聴力，顔面神経の温存性などの機能面に関して十分検討する必要がある。

●中頭蓋窩法では，若年で有効聴力が保たれており，腫瘍が内耳道内に限局している症例がよい適応となる。

●経迷路法では，実用聴力が廃絶している小〜中等度の大きさの腫瘍症例がよい適応となる。

●経迷路法では術後髄液漏の防止に十分配慮する必要がある。


＊本論文中，動画マークのある箇所につきましては，関連する動画を見ることができます（公開期間：2018年12月）。

参考文献

1）村上信五・他：Middle cranial fossa approach．聴神経腫瘍NS NOW，低侵襲時代の頭蓋底手術，大畑健治（編），メジカルビュー社，東京，2009，pp83-92

2）橋本　省：私はこうしている—耳科手術編　頭蓋底手術　聴神経腫瘍—中頭蓋窩法の立場から—．JOHNS 32：1325-1329，2016

3）Kanzaki J, et al：A modified extended middle cranial fossa approach for acoustic tumors. Arch Otorhinolaryngol 217：119-121, 1977

4）村上信五：経迷路法．聴神経腫瘍Leading ExpertによるGraphic Textbook，佐々木富雄（編），医学書院，東京，2009，pp103-118

5）山本　裕：停止に苦慮した聴神経腫瘍摘出後の髄液鼻漏．耳鼻咽喉科　てこずった症例のブレークスルー，本庄　巌（編），中山書店，東京，2013，pp80-81

6）橋本　省：側頭骨へのアプローチ　聴神経腫瘍．JOHNS 31：924-927，2015

7）Fukuda M, et al：Free-running EMG monitoring during microvascular decompression for hemifacial spasm. Acta Neurochir 157：1505-1512, 2015