文献詳細
増刊号 耳鼻咽喉科処方マニュアル
1.主な薬剤の種類と使い方
文献概要
耳鼻咽喉科領域の漢方治療の変遷
2010年の時点で日常的に漢方薬を処方している医師は86.3%に達している1)とされ,多くの耳鼻咽喉科医師も種々の疾患に投与していると想像する。以前は,古典を研究した書籍2)を執筆するような漢方に精通した少数の耳鼻咽喉科医のみが使用していたことに比べれば,驚くべきことである。漢方医学を系統的に学ぶ機会がなかった耳鼻咽喉科医にとって,漢方薬を処方することに対するハードルは高かったと想像する。このハードルが下がった理由は,保険適応の承認が得られたこと,優れた書籍の登場,エビデンスの集積などが考えられる。
2010年の時点で日常的に漢方薬を処方している医師は86.3%に達している1)とされ,多くの耳鼻咽喉科医師も種々の疾患に投与していると想像する。以前は,古典を研究した書籍2)を執筆するような漢方に精通した少数の耳鼻咽喉科医のみが使用していたことに比べれば,驚くべきことである。漢方医学を系統的に学ぶ機会がなかった耳鼻咽喉科医にとって,漢方薬を処方することに対するハードルは高かったと想像する。このハードルが下がった理由は,保険適応の承認が得られたこと,優れた書籍の登場,エビデンスの集積などが考えられる。
参考文献
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