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特集 いまさら聞けない聴覚検査のABC
インピーダンスオージオメトリー
著者: 寺西正明1 曾根三千彦1
所属機関: 1名古屋大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.414 - P.420
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●インピーダンスオージオメトリーは,音エネルギーが鼓膜,中耳へと伝わる際の音響インピーダンスを測定し,中耳の伝音機能を知る他覚的検査法である。
●インピーダンスオージオメトリーは,実際の臨床ではティンパノメトリーと耳小骨筋反射検査が行われる。
●頻用されるティンパノメトリーは低周波数(226Hz)プローブ音を用い,得られたティンパノグラムは,波形のピークの位置,高さで分類され,A,B,Cの3型に分類される。
●中耳伝音系のインピーダンスを詳細に検討するためには連続周波数ティンパノメトリーが有用であり,内耳圧の評価にも応用されている。
●耳小骨筋反射は簡便な他覚的聴覚検査であるが,反応が欠如していても,難聴と判断できないことがある。また補充現象陽性耳では,ある程度の難聴であれば反射が保たれるので,この反応を認めても難聴がないと判断できないため,注意が必要である。
●耳小骨筋反射は顔面神経麻痺の予後判定にも用いられ,陽性例の予後はよいが,陰性例でも必ずしも予後不良ではなく,電気生理学的検査による評価も必要となる。
●インピーダンスオージオメトリーは,音エネルギーが鼓膜,中耳へと伝わる際の音響インピーダンスを測定し,中耳の伝音機能を知る他覚的検査法である。
●インピーダンスオージオメトリーは,実際の臨床ではティンパノメトリーと耳小骨筋反射検査が行われる。
●頻用されるティンパノメトリーは低周波数(226Hz)プローブ音を用い,得られたティンパノグラムは,波形のピークの位置,高さで分類され,A,B,Cの3型に分類される。
●中耳伝音系のインピーダンスを詳細に検討するためには連続周波数ティンパノメトリーが有用であり,内耳圧の評価にも応用されている。
●耳小骨筋反射は簡便な他覚的聴覚検査であるが,反応が欠如していても,難聴と判断できないことがある。また補充現象陽性耳では,ある程度の難聴であれば反射が保たれるので,この反応を認めても難聴がないと判断できないため,注意が必要である。
●耳小骨筋反射は顔面神経麻痺の予後判定にも用いられ,陽性例の予後はよいが,陰性例でも必ずしも予後不良ではなく,電気生理学的検査による評価も必要となる。
参考文献
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