文献詳細
原著
下咽頭がん術後に対する経直腸的甲状腺ホルモン補充療法例
著者: 南和彦1 大庭晋1 久場潔実1 松村聡子1 小柏靖直1 中平光彦1 菅澤正1
所属機関: 1埼玉医科大学国際医療センター頭頸部腫瘍科・耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.179 - P.182
文献概要
甲状腺機能低下時のホルモン補充には,現在主にサイロキシン(T4)の合成剤であるレボチロキシンナトリウム水和物(チラージン® S)の経口内服投与が行われている。内服が処方どおりに正しくできれば機能低下症のコントロールは比較的容易であるが,本邦では甲状腺ホルモン製剤は経口薬しか製剤化されていない。このため,なんらかの理由で経口摂取,経管栄養管理が困難となった場合にはその代替法が必要となる。
今回,下咽頭がんのために下咽頭喉頭頸部食道切除術・遊離空腸再建術を施行し,術後10か月で遊離空腸部分壊死をきたして長期間経口摂取ができない症例に対して坐薬(チラーヂン® S坐薬)として経直腸的に甲状腺ホルモン薬を投与し,良好な結果が得られたので報告する。
参考文献
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