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原著
前庭型片頭痛患者の前庭動眼反射機能についてvideo head impulse test(vHIT)を用いた検討
著者: 小板橋美香1 五島史行2 荒井美希2 新藤晋34 池園哲郎4
所属機関: 1東京女子医大東医療センター耳鼻咽喉科 2独立行政法人国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科 3埼玉医科大学神経耳科 4埼玉医科大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.367 - P.372
文献購入ページに移動めまいと片頭痛は従来から合併することが報告されており,めまいは片頭痛患者の30〜50%に認められ,逆にめまいを主訴とする患者の38%が片頭痛を訴えるとの報告もある1)。片頭痛を有するめまい症例のなかには,メニエール病(Meniere's disease:MD)や良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo:BPPV)などの既知の疾患によるめまい症例も少なくない。しかし,その一方で,めまいと頭痛の発作が共通の病因によって生じるものと考える疾患単位,片頭痛関連めまい(前庭性片頭痛)が提唱されている2)。今まで国際的に公認された診断基準がなかったが,近年改訂された国際頭痛分類第3版β版(ICHD-Ⅲ beta)3)の付録に,vestibular migraineとして収載された4)。欧米に比べ日本ではまだ認識が少ない疾患であるが,原因不明とされていためまい症例のなかには,本疾患が含まれている可能性があり,今後さらに周知されることが望まれる。
前庭性片頭痛(vestibular migraine:VM)の病態や病巣はまだ不明瞭であり,また客観的所見を捉えにくいことから診断が困難である。欧米ではvideo head impulse test(vHIT)が普及しており,本疾患の前庭機能について温度刺激検査のみならずvHITを用いた検討5,6)があるが,本邦においては,VEMPや温度刺激検査を用い検討した報告7)はみられるがvHITを用いた検討はない。vHITは侵襲なく頭部回転終了前に出現するovert catch-up saccade(overt CUS)や頭部回転終了後に出現するcovert catch up saccade(covert CUS)が検出できるだけでなく,左右それぞれのVOR gainの平均値を算出することにより,半規管機能を客観的に定量化できる利点をもつ8)。今回,前庭性片頭痛患者の半規管機能についてvHITを用い検討したのでここに報告する。
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